2016年9月1日木曜日

【<築地移転延期>豊洲維持費1日700万円 五輪にも影響】


11月7日の予定だった築地市場の豊洲市場移転について31日、東京都の小池百合子知事が正式に延期を表明した。ただ、都の予算や2020年東京五輪・パラリンピックに与える影響は大きい。

 東京ガス工場跡地の豊洲市場予定地の地下水や土壌からは、環境基準値を大きく超える高濃度のベンゼンなどの有害物質が相次いで検出された。都は約858億円をかけ土壌汚染対策工事を施した。

 都は地下水モニタリング調査を14年11月18日から7回実施し、いずれも基準値を上回るベンゼンは検出されていない。今後は9月に8回目、11月18~29日に最後の9回目が予定され、9回目の調査結果は17年1月に出る。

 小池知事は記者会見で「都民ファーストを大切にしなければならない。(モニタリングの)結果を見届けることは安全性の確認、説得力において譲れない」と強調した。

 小池知事が設けるとした市場問題プロジェクトチーム(PT)は、都顧問の小島敏郎・青山学院大教授を座長に、土壌や建築、公営企業などの専門家6、7人を選任する。

 一方、豊洲市場の建物は完成しており、都の試算では、契約している電気・水道料金、警備費などは開場しなくても1日約700万円かかる。小池知事は会見で「お金(の額)が独り歩きしている」と不快感をあらわにしたものの、維持費の支出は不可欠だ。延期で、業者側から補償金や賠償金を請求される可能性もある。業者が決まっている築地市場の解体も延期される。

 31日、知事に延期見直しなどを要望した移転推進派の「築地市場協会」の伊藤裕康会長によると、業者は分担して冷蔵庫棟2棟に約130億円、場内の無線LANに約30億円、冷凍設備に約23億円など、少なくとも数百億円を投資した。

 冷蔵庫棟は最低でマイナス60度まで冷やす必要があるため既に運転を始めているといい、伊藤会長は「大変な損害。知事が要望を断れば、お先真っ暗だ」と嘆いた。

 09年2月時点で約4316億円だった豊洲市場の総事業費は、今年2月時点で約5884億円に膨れ上がっている。延期によるランニングコストや補償金を含めれば、予算の上積みは避けられない。

 また、20年東京大会に向け選手村や競技会場と都心を結ぶ道路として整備される環状2号線は、全長約14キロのうち約450メートルが築地市場跡地に整備され、一部が地下化される。都によると、地下化は換気塔や照明などを設置する必要があり、通常の道路整備より時間がかかる。このため移転延期は大会前の開通を困難にしかねない。

 築地市場の移転後に一旦つくられる仮設道路は片側1車線で急カーブがあるため、大会関係車両のスムーズな通行は難しい。都の担当者は「本線をつくらないと大会運営に支障が出る」と話す。

 開通が、大会に間に合わない可能性に関して小池知事は「どのような工法で工事できるか検討する」と、開通と移転延期を両立させる意思を示した。

 移転延期で都議会との関係悪化も懸念される。都中央卸売市場条例によると、移転日は知事の判断で決めることができ、都議会の同意は必要ない。しかし、1260億円の用地購入費など移転関連費用を盛り込んだ予算案が10年に都議会で可決されており、移転延期は都議会の了承を破棄する動きだ。9月28日に都議会定例会が開会予定で、知事選立候補を巡って対立した都議会自民党との間で、移転延期は新たな火種となる可能性もある。

 これに対し、移転延期賛成派の水産仲卸会社の女性役員(64)は「50年、100年続く市場なので完全な対策を取ってもらわないと」と小池知事の判断を支持した。11月7日の予定だった築地市場の豊洲市場移転について31日、東京都の小池百合子知事が正式に延期を表明した。ただ、都の予算や2020年東京五輪・パラリンピックに与える影響は大きい。

 東京ガス工場跡地の豊洲市場予定地の地下水や土壌からは、環境基準値を大きく超える高濃度のベンゼンなどの有害物質が相次いで検出された。都は約858億円をかけ土壌汚染対策工事を施した。

 都は地下水モニタリング調査を14年11月18日から7回実施し、いずれも基準値を上回るベンゼンは検出されていない。今後は9月に8回目、11月18~29日に最後の9回目が予定され、9回目の調査結果は17年1月に出る。

 小池知事は記者会見で「都民ファーストを大切にしなければならない。(モニタリングの)結果を見届けることは安全性の確認、説得力において譲れない」と強調した。

 小池知事が設けるとした市場問題プロジェクトチーム(PT)は、都顧問の小島敏郎・青山学院大教授を座長に、土壌や建築、公営企業などの専門家6、7人を選任する。

 一方、豊洲市場の建物は完成しており、都の試算では、契約している電気・水道料金、警備費などは開場しなくても1日約700万円かかる。小池知事は会見で「お金(の額)が独り歩きしている」と不快感をあらわにしたものの、維持費の支出は不可欠だ。延期で、業者側から補償金や賠償金を請求される可能性もある。業者が決まっている築地市場の解体も延期される。

 31日、知事に延期見直しなどを要望した移転推進派の「築地市場協会」の伊藤裕康会長によると、業者は分担して冷蔵庫棟2棟に約130億円、場内の無線LANに約30億円、冷凍設備に約23億円など、少なくとも数百億円を投資した。

 冷蔵庫棟は最低でマイナス60度まで冷やす必要があるため既に運転を始めているといい、伊藤会長は「大変な損害。知事が要望を断れば、お先真っ暗だ」と嘆いた。

 09年2月時点で約4316億円だった豊洲市場の総事業費は、今年2月時点で約5884億円に膨れ上がっている。延期によるランニングコストや補償金を含めれば、予算の上積みは避けられない。

 また、20年東京大会に向け選手村や競技会場と都心を結ぶ道路として整備される環状2号線は、全長約14キロのうち約450メートルが築地市場跡地に整備され、一部が地下化される。都によると、地下化は換気塔や照明などを設置する必要があり、通常の道路整備より時間がかかる。このため移転延期は大会前の開通を困難にしかねない。

 築地市場の移転後に一旦つくられる仮設道路は片側1車線で急カーブがあるため、大会関係車両のスムーズな通行は難しい。都の担当者は「本線をつくらないと大会運営に支障が出る」と話す。

 開通が、大会に間に合わない可能性に関して小池知事は「どのような工法で工事できるか検討する」と、開通と移転延期を両立させる意思を示した。

 移転延期で都議会との関係悪化も懸念される。都中央卸売市場条例によると、移転日は知事の判断で決めることができ、都議会の同意は必要ない。しかし、1260億円の用地購入費など移転関連費用を盛り込んだ予算案が10年に都議会で可決されており、移転延期は都議会の了承を破棄する動きだ。9月28日に都議会定例会が開会予定で、知事選立候補を巡って対立した都議会自民党との間で、移転延期は新たな火種となる可能性もある。

 これに対し、移転延期賛成派の水産仲卸会社の女性役員(64)は「50年、100年続く市場なので完全な対策を取ってもらわないと」と小池知事の判断を支持した。

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