2017年11月28日火曜日

不動産投資「ネットで手軽に」 個人マネー受け皿に

 個人の資金をインターネットで集め、不動産に投資する動きが広がっている。運用会社が小口資金を募るクラウドファンディング(CF)の手法を使い、1口1万円などと募集。低金利が続くなか、比較的高い利回りを期待する個人投資家の関心をひき付けている。運用会社はネットを活用することで資金調達手段を多様化する狙いがある。
 不動産運用のケネディクスは2018年春にも、CFの手法で個人から集めた資金を基にオフィスや住宅への投資を始める。投資物件の家賃収入を配当として個人に還元。利回りは年2~3%を想定している。
 1~2年といった、あらかじめ決めた運用期間が過ぎると出資者に出資金を返還する。ケネディクスにとっては資金調達の裾野が広がる利点があり、数年内に運用資産を100億円程度に増やす計画だ。
 不動産運用のロードスターキャピタルは11月中旬、京都市内の町家を対象とした投資資金をCFで集めた。1口1万円で集め、町家を宿泊施設に改装して運営する事業者に貸し付ける。貸付先からの利払い収入を個人に還元する。利回りは年5%を予定している。
 同社は10月にも東京都中央区銀座の商業ビルなどへの投資案件として4億50万円をネットで募集。8日間で1075人から資金を集めた。
 個人が比較的少ない資金で不動産に投資する手段としては不動産投資信託(REIT)もある。ただ、最低投資額が10万円を超えるものが多い。CFは手軽に小口投資できるとして、個人投資家に魅力的に映るようだ。
 ただ、CFの仕組みによる不動産投資は運用期間中に出資したお金を原則、引き出せないことが多い。集めた資金で投資した不動産が出資者に分からない場合がある点も注意が必要だ。

2017年11月27日月曜日

不動産契約の手間を削減、ブロックチェーンの可能性

 「これは全てを変えるだろう」――。米アップルは2007年、初代「iPhone」についてこう紹介した。これは今や、ブロックチェーン(分散型台帳)と、その様々な業界を変えるイノベーションをもたらす潜在力についても当てはまる。
 ブロックチェーンを使ったイノベーションの事案が最も発達しているのは、銀行や金融サービス、サイバーセキュリティーだ。サプライチェーンマネジメントや保険、ヘルスケアでも有用な解決策が登場しつつある。
 それに比べ、あまり議論されていないのが不動産業界だ。この業界は不透明になりがちで、消費者の利益よりも自己保身に走ることが多い。
 法律の大幅な改正というサポートがあれば、ブロックチェーンにより既存プロセスが強化、効率化されるだけでなく、住宅に手が届きやすくなる新たなモデルを実現できる。
■契約を自動履行、無駄な仕事を減らす
 典型的な「普通の」住宅売却では、土地登記所、買い手と売り手、それぞれの事務弁護士と住宅ローン会社、不動産審査会社、不動産業者という多くの利害関係者が関わる。しかもこれは、他の買い手や売り手が絡んでいない「チェーンフリー(売り手が新たな不動産を購入する必要がない)」取引の場合だ。取引を次の段階に進めるにはどの関係者がいつ何をすべきかを理解しなくてはならないため、プロセスは無駄に長くなる。
欧米では住宅の高騰で購入をあきらめる層への懸念が高まっており、ブロックチェーンは住宅を買いやすくするイノベーションとして注目されそうだ
欧米では住宅の高騰で購入をあきらめる層への懸念が高まっており、ブロックチェーンは住宅を買いやすくするイノベーションとして注目されそうだ
 ブロックチェーンはこのプロセスを透明化し、あらゆる面の信頼を高め、無駄な仕事を減らしてくれる。契約を自動的に履行する「スマートコントラクト」を使えば、送った代金が取引代行業者の手を離れて銀行に返済されるか、名義が移るまでに、必要なプロセスは全て実行される。ブロックチェーンの分散的な特性により、当事者はもはや「信頼できる唯一の情報源(通常は弁護士)」に依存することなく、取引の信頼性を高め、コストを削減し、迅速化できる。
 買い手と売り手が動きを明確に把握して承認できるようになり、こうした中間業者がもはや契約を進める唯一の担い手でなくなれば、仲介的な役割の一部が縮小したり、完全に消滅したりするのは想像に難くない。
 英政府の「shared ownership(共同所有)」は、住宅を初めて購入する人がその一部だけを買い、残りの価値に対して家賃を支払うことで、「住宅すごろく」のスタートラインに立てるよう支援する制度だ。借り手は金銭的に余裕ができれば持ち分を増やせるので、「階段」制度とも呼ばれる。
 現時点では、この制度を適用できる物件は限られており、厳しい基準を満たした買い手しか利用できない。だが、ブロックチェーンを使えば対象者を全ての買い手に広げ、これまでの所有か賃貸かの二者択一から脱却できる。この制度は買い手と売り手の双方にとって明らかに魅力的だ。元の持ち主にとっては空き家になる期間や家賃、管理費を気にすることなく一定の家賃収入を得られるし、借り手は好きなように飾ったり、改修したりできる自分の城を持てる。これを実現するのがスマートコントラクトだ。家賃の支払いを持ち分に応じて自動的に調整し、ブロックチェーンの台帳に記録し、追加持ち分の評価も自動で実行してくれるからだ。
 例えば住宅所有者が自宅の0.03%を友人に売って資金を調達する、あるいはクラウドファンディングで出資を募る場合のように、買い手が金銭的な支援を受けた家族や友人に対し、見返りに不動産の持ち分を供与したりすることは、法規制や実務的な制約から難しい。
■法改正も不可欠
 英ブリックベストや英プロパティパートナーなど一部のスタートアップは、ブロックチェーンを使ってはいないものの、既に不動産の分割所有を実現しようとしている。ブロックチェーンのオンライン分散台帳を使えば、株式の売買を記録するように、不動産の個々の持ち分の規模や金額を安全かつ確実に追跡できるため、複雑な処理が可能になる。
 ブロックチェーンが不動産業界に及ぼす最も大きなインパクトは、一元的な登記機関が無かったり、登記に不正の恐れがあるか信頼性が低かったりする国でも財産所有権を設定できるようになることだろう。
 明確で不変な所有権を認める不動産の権利証を持つことは極めて重要だ。これにより、住宅ローンの借り入れが可能になるなど多額の資金が経済サイクルに投入されるからだ。ブロックチェーンの分散的な特性に備わる強力な抑制均衡機能は、監督当局を信頼できない市場が経済発展を果たす上で非常に有用だ。スウェーデンのスタートアップ、クロマウェイはこの問題に取り組み、スウェーデンの土地登記所と共同で実証実験を進めている。
 もっとも、破壊的な革新をもたらす企業だけでは住宅の所有や不動産業界全体の仕組みを変えられないだろう。テクノロジーを活用した所有権の新たなモデルを安全かつ確実に推進するには、法律を改正しなくてはならない。恩恵が広く及ぶようにするには、ブロックチェーン技術を使った革新的な企業と業界の既存各社との連携も必要だ。欧米では住宅の高騰で購入をあきらめる層への懸念が高まっている。すべての人にとって住宅が買いやすくなるイノベーションには大きな関心が集まるはずだ。
By Eyal Malinger=英ベンチャーキャピタル(VC)べリンギアの投資部門責任者。「プロップテック(不動産とテクノロジーの融合)」に強い関心がある

2017年11月24日金曜日

不動産投資家、積極的な投資意欲を維持

 (一財)日本不動産研究所(JREI)は21日、37回目となる「不動産投資家調査」(2017年10月時点)結果を発表した。アセットマネジャーやディベロッパー、不動産賃貸事業者など198社にアンケートを実施。153社から回答を得た。
 Aクラスビル(オフィスビル)の期待利回りは、「日本橋」が4.0%などで下げ止まりがみられたが、「丸の内、大手町地区」は3.5%(前回比0.1ポイント低下)となり、調査開始以降、最も低い水準を更新した。
 地方のアセットは、「札幌」(6.0%)、「仙台」(6.0%)、「京都」(5.5%)が横ばいとなったが、その他は0.1~0.2ポイント低下。他のアセットも全体として低下傾向だったが、今回調査では「宿泊特化型ホテル」の低下が顕著だった。
 賃貸住宅1棟(ワンルームタイプ)の期待利回りは、東京の「城南」が4.5%で横ばい。最も低い水準のままとなったが、東京「城東」(4.7%)やその他の地区では、全体的に0.1~0.2ポイント低下した。
 今後1年間の投資スタンスを聞いたところ、「新規投資を積極的に行なう」が89%(前回比0.1ポイント上昇)と上昇。「当面、新規投資を控える」は8%(同1ポイント低下)と低下した。金融緩和の影響等を背景に、全体として投資家の投資意欲は積極な姿勢が維持されている。
 併せて、「不動産投資市場の持続的な発展・成長について」の調査結果も公表(回答社数136社)。
 不動産投資市場の現状認識について、「ピークに達している」との回答が68.1%(同2.7ポイント上昇)がトップに。その理由は、「著しく低い利回りによる取引が多く出現」(72.5%)が最も多かった。
 また、アクションプランで提言された4つの改革等のうち、不動産投資市場の持続的な発展・成長に最も寄与するものについては、「不動産投資家の投資環境の改革」(41.2%)とする回答が最多。そのために必要な事項として最も回答が多かったのは、「不動産情報基盤の充実」(61.1%)だった。
【六本木の福ちゃん不動産】

2017年11月23日木曜日

英不動産が銀座に進出 訪日客増にらみ商業施設取得

英国の不動産大手のグロブナーは東京・銀座に進出する。このほど銀座4丁目の商業施設「並木館銀座」を今治造船グループから取得。国内外の飲食、サービス、美容関連の企業などをテナントとして誘致する。2020年の東京五輪に向けた訪日客の増加をにらんで進出を決めた。
 グロブナーは300年以上前から英ロンドンで不動産業に携わり、世界約60都市で1.8兆円の不動産を運用している。
 並木館銀座の土地面積は約750平方メートルで、5階から10階が空室になっている。世界のネットワークをいかし、海外の有力テナントの誘致につなげる。取得額は数百億円程度とみられる。
 日本では富裕層向け住宅を展開していたが、商業用の不動産への進出は初めて。東京の銀座、表参道、青山エリアは中長期的に成長が続くとみており、今後も物件取得を検討する。

2017年11月21日火曜日

三井不、武蔵小山駅前で41階建てタワマン

 三井不動産(株)は、旭化成不動産レジデンス(株)と共同で開発中の大規模タワーマンション「パークシティ武蔵小山ザ タワー」(東京都品川区、総戸数598戸)の第1期(204戸)を、23日から販売する。
 同物件は、東急目黒線「武蔵小山」駅徒歩1分に立地する、地上41階建ての免震タワーマンション。0.7haの開発地は、木造低層住宅や店舗兼住宅などが密集していたエリアで、2004年に地権者による勉強会が発足。14年5月「武蔵小山パルム駅前地区市街地再開発組合」が発足。両社が事業協力者として参画した。
 再開発では、同物件と低層棟(商業施設)が建設され、地権者含め40以上の店舗が誘致される。また、駅前広場と一体化した広場が設けられ、ゲートツリーをはじめとした緑化をふんだんに行なう。低層棟の上層部には、地権者用住戸(30戸)が設けられる。20年4月竣工予定。
 タワーマンションは、光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所(株)代表取締役の光井 純氏がデザイン監修。アースカラーをベースに、水平を基調としたデザインとした。スケールメリットを生かし、ガーデンラウンジや屋上テラスをはじめ、スカイテラス、パーティルーム、キッズルーム、ゲストスイートなど共用部も充実させた。
 住戸は、地権者住戸121戸、事業協力者住戸16戸などを除いた491戸を販売。1LDK~3LDK、専有面積37~122平方メートル。1期は専有面積47~122平方メートル。販売価格は6,750万~2億6,390万円。最多価格帯は9,300万円台。坪単価470万円。17年4月のホームページ開設から9,000件以上の資料請求を受け、モデルルーム来場は1,700組を超えている。来場者層は、DINKS、ファミリー、プレファミリー中心。品川区2割、目黒区1割で地元比率が4割弱と広域集客傾向が強いのが特長。販売スケジュールがほぼ同じ三井不動産の「ザ・タワー北仲」(横浜市中区)など、駅前好立地のランドマーク物件との広域競合が目立つという。

2017年11月20日月曜日

ギリシャ不動産に中国マネー 外国人購入者の4割




ギリシャの居住用不動産の価格は債務危機前に比べほぼ半減した(10月、アテネ【イスタンブール=佐野彰洋】欧州債務危機の震源地だった南欧ギリシャの不動産市場に海外資金が流れ込んでいる。一定額以上の投資で滞在許可を取得できる制度のためだ。特にインフラ分野でも投資が目立つ中国の購入者が4割を超え、両国経済の結びつきの強さが鮮明になっている。危機前のほぼ半値に下がった不動産相場をてこ入れし、景気を浮揚させる効果が期待されている。
 「部屋からはエーゲ海が見える。いい買い物だった」。北京出身の旅行ガイドの男性(34)はアテネ近郊で広さ150平方メートル、築20年の物件を25万ユーロ(約3300万円)で購入した。購入資金は北京の保有物件を売却して賄った。
 購入の動機は「ゴールデン・ビザ」と呼ばれる2013年に始まったギリシャ政府の投資促進策だ。物件購入、建築など25万ユーロ以上の不動産投資で買い手と家族に5年間の滞在許可を与える。

 財政粉飾の発覚をきっかけに債務危機に陥ったギリシャは10年以降、ユーロ圏などの金融支援下にある。引き換えに政府は年金や公務員給与削減などの緊縮策を課され、国民や企業の預金は国外に流出した。経済を浮揚させるための資金は海外からの投資が頼みだ。

 そのため、ギリシャの投資は似た制度を持つ欧州諸国の中で最もハードルが低いとされる。
 滞在許可は物件の継続保有を条件に、更新できる。ギリシャは国境審査なしで往来できる欧州のシェンゲン協定に加盟しているため、欧州連合(EU)の大部分の国を自由に旅行できる。
 ギリシャ政府によると、この制度を利用し17年9月までに不動産を購入した外国人は2014人、投資額や関連収入は10億ユーロを超えた。家族を含む滞在許可の発給も年々伸び、16年は1567人と14年比で8割増えた。
 17年9月までの国別の内訳をみると、中国が購入者で850人、滞在許可で2091人。それぞれ全体の4割以上を占めるトップとなった

 ギリシャでは最大港湾のピレウス港が中国国有海運大手によって買収され、17年6月には中国国有の国家電網がギリシャ国営電力の送配電子会社の株式24%の取得を完了した。民営投資会社の復星集団もアテネの旧空港跡地の大規模再開発に参画する。インフラを中心に両国の結びつきは強まる一方で、不動産も例外ではない。

 不動産広告サイト「スピトガトス」によると、英語版への中国からのアクセスは過去1年で3倍に増加。近く中国語版を立ち上げる。ギリシャ国民の間では厳しい緊縮策を迫るドイツに比べ、雇用を創出してきた中国への感情は良好だ。
 中国に続くのはロシア、トルコ、エジプトといった国々。いずれも強権的な政治体制で知られる。トルコでは16年にクーデター未遂が、エジプトでは13年にクーデターが起きており、弾圧への恐怖、子どもの教育など将来への不安を感じる富裕層が「保険」を掛けている。
 10月発表の改定値によると、16年のギリシャの国内総生産(GDP)成長率は前年比0.2%減。2年連続のマイナス成長を記録した。17年はプラスに転じるものの、追加融資を巡る交渉の遅れが響き、1%台にとどまる見通しだ。

 居住用不動産の価格は危機前の00年代後半に比べほぼ半値の水準で、取引件数も激減した。危機の初期段階で資産防衛目的で高値で購入した世帯も少なくない。不動産融資の焦げ付きは銀行経営の重荷となっている。

 アテネの不動産仲介業、アレクサンドロス・ニコライディス氏は「新築供給の途絶、民泊サイトの普及を背景に物件価格は上昇基調にある。外国人の買いは一段の相場押し上げの原動力になる」と語る。

【港区×高級賃貸×六本木】

2017年11月19日日曜日

「目黒」「麻布十番」などで新築価格を維持

(株)東京カンテイは、「築年帯に見る駅別利回り分布の分析」を公表した。新築・既存のマンションを購入して賃貸した場合の利回りの築年変化によって、マンションの価格下落のエリアリスクを考察したもので、同社データベースの中から事務所・店舗用途の住戸を除いた専有面積30平方メートル以上の登録事例を集計した。
 首都圏全体の平均利回りは新築マンションが4.44%(平均坪単価284万8,000円、平均坪賃料1万536円)。これが、築10年のマンションは5.18%、築20年5.81%、築30年6.19%となった。平均坪単価は築10年で新築時の73.2%、築20年を超えると5割を割り込むのに対して賃料の場合は築30年でも新築時の64.4%の水準を維持するため、利回りが上昇する。同社では「裏を返せば、長期にわたって低い利回りを維持している駅は新築時の価格水準を維持している」とする。
 駅別にみると、新築では東京メトロ「六本木」駅が2.34%でトップ。ついでJR「浜松町」駅が2.93%、同「四ツ谷」駅の2.94%で続いた。築30年では、1位が都営地下鉄「牛込神楽坂」駅で3.69%、次いで東京メトロ「広尾」駅3.73%、同「半蔵門」駅3.81%となった。
 新築・築30年のランキングで共に上位にランクインしているのは、JR「目黒」駅と東京メトロ「麻布十番」駅。同社ではこれらの駅について「ブランド力や交通利便性が高い上に、開発が間断なく続いていることや大手町などのオフィスエリアへのダイレクトアクセスが可能な駅なので、老若男女から人気を集めており、マンションの築年数が経過しても価格が落ちにくいのではないか」と分析した。

2017年11月18日土曜日

「職人が誇りに思える建築」 三宅一生が語る安藤忠雄

 東京・六本木の国立新美術館で建築家・安藤忠雄氏の大規模な展覧会「安藤忠雄展-挑戦-」が開催中だ(会期は12月18日まで)。安藤氏は独学で建築を学び、「世界のANDO」と呼ばれるまでになった。建築関係者だけでなく、経営者や文化人にも、安藤氏から大きな影響を受けている人が多い。その一人である三宅一生氏に安藤氏の“すごさの理由”を語ってもらった。
■すぐに作品を理解
 安藤(忠雄)さんと初めて仕事をしたのは1989年。草月会館(東京・赤坂)で開催した陶芸家ルーシー・リーさんの展覧会だ。私が企画し、会場構成を安藤さんにお願いした。
三宅一生氏(写真:Brigitte Lacombe)
三宅一生氏(写真:Brigitte Lacombe)
 英ロンドンの小さな書店でルーシーさんの作品集を偶然見つけ、「こんなにキリッとした美しさがあるのか」と感動し、友人を介してすぐに会いに行った。彼女はものすごく繊細で力強く、完璧な、使えるオブジェをつくる人だった。
 安藤さんはすぐに作品を理解し、「これはガラスの中に入れたらあかんで。手を伸ばせるところに置かないと。水の上に浮かべよう」と言った。ルーシーさんの質素な暮らしや揺るぎない姿勢は、安藤さんと似ているところがあるのだと思う。陶器の展覧会としてあれ以上のものはない、画期的な展覧会だった
■デザインミュージアムの必要性唱える
 その前年、米ニュージャージー州にあるラトガーズ大学での講演会に、日本から安藤さんと共に呼ばれ、彫刻家のイサム・ノグチさんが聞きに来てくれた。ノグチさんはその頃、ニューヨークのペースギャラリーで展覧会を開催しており、安藤さんと一緒にギャラリーを訪れた。そのときに3人で「日本にはデザインミュージアムが必要だ」と話し合ったのが、「21_21 DESIGN SIGHT」の始まりだ。
東京・六本木に立つ「21_21 DESIGN SIGHT」の施工中の写真。2006年5月に撮影した(写真:吉村昌也/ナカサアンドパートナーズ)
東京・六本木に立つ「21_21 DESIGN SIGHT」の施工中の写真。2006年5月に撮影した(写真:吉村昌也/ナカサアンドパートナーズ)
 その後、田中一光さん、倉俣史朗さん、柳宗理さん、小池一子さんなどに輪が広がり、2003年、朝日新聞に「造ろうデザインミュージアム」と題する文章を寄稿したところ、大きな反響があった。そして三井不動産の皆さんをはじめ多くの方々との出会いを通じて企画が本格的に動き出し、07年のオープンに至った。
■手編みのような緻密な配筋
 皆で東京ミッドタウンの敷地を見に行ったとき、安藤さんは「ここがええ」と一番難しい角地を選んだ。その背後には、ヒマラヤ杉がたくさん植えてあった。安藤さんはものの距離感を見事に捉える人だと感心した。
 着工後は建物ができていく過程が面白くて、週に2、3度は現場を見に行った。配筋の様子はまるでニッティングマシーンか手編みのようで、「こんなに緻密につくるんですか」と職人に尋ねると、「安藤さんの仕事をするのは最高の喜び。安藤さんが求める以上の仕事をしたい」との返答。職人たちが仕事を誇りに思える建築をつくれる人は、安藤さんをおいて他にいないだろう。
2006年4月に撮影された施工中の写真(写真:吉村昌也/ナカサアンドパートナーズ)
2006年4月に撮影された施工中の写真(写真:吉村昌也/ナカサアンドパートナーズ)
2006年2月に撮影された施工中の写真(写真:吉村昌也/ナカサアンドパートナーズ)
2006年2月に撮影された施工中の写真(写真:吉村昌也/ナカサアンドパートナーズ)
 完成した建物は独創的な造形で、屋根は1枚の巨大な鉄板が折れ曲がり、地面に向かって傾斜する。大半のボリュームを地下に埋め、その地階の中庭から空を三角に切り取って見せるところなど実にうまい。安藤さんは建築の可能性を知り尽くしている。夢もあり、とにかく飛び抜けている。建物の中で人がどう動くのかもきちんと考えていて、真の建築家だ。
 安藤さんから電話をもらうと、次にやるべきことが浮かんでくる。そして安藤さんに会うといつも、「何かをやろう」という話になるのだ。

2017年11月17日金曜日

首都圏の新築マンション、2カ月連続前年割れ

不動産経済研究所(東京・新宿)が15日発表した10月の首都圏の新築マンションの発売戸数は前年同月比3.0%減の2817戸だった。減少は2カ月連続。契約率は前年同月比0.9ポイント低下の60.7%で10月では1991年以来の低水準だった。購入者は資産価値が下がりにくい物件を慎重に見極めており、郊外物件を中心に苦戦が続く。
 契約率が上振れしやすい新規売り出し物件の割合が10月は全体の32%しかなく、前年同月の39%から大きく下がったことも響いた。今年10月の契約率を地域別に見ると、東京23区は68.3%だが、東京都下は42.6%、埼玉は44.9%、千葉は53.7%と低い。
 値下がり懸念が小さいとされる東京都心の高額物件は比較的堅調なことから、首都圏の平均販売価格は5586万円で前年同月から180万円上昇した。同研究所は今後の見通しについて「11月以降は横浜や23区で戸数の多い大型タワーマンションの発売が見込まれるため、発売戸数は上向く可能性が高い」と指摘した。

2017年11月16日木曜日

東急不、東京都心の高額マンションの販売拡大 

東急不動産が千代田や港などの東京都心6区で平均価格1億円以上の高額マンションの販売を加速する。都心物件の販売担当者を2割増やし、2018年3月期は六本木や永田町など4物件を発売。年1件前後だった供給ペースを来期以降も数件規模に増やす方針だ。高所得のシニアや共働き世帯の需要を背景に都心シフトを加速する。
 今期はすでに「ブランズ六本木 ザ・レジデンス」(東京・港、平均価格約3億8千万円、総戸数51戸)や「ブランズ永田町」(東京・千代田、約2億8千万円、21戸)など3物件を販売中。さらに12月には「ブランズ六本木飯倉片町」(東京・港)を発売する。
 7月に発売した六本木は全体の4割、9月に発売した永田町は3割の住戸がすでに契約済みで、高額物件としては「好調な売れ行き」(大隈郁仁社長)という。来期には港区白金台の高額物件の販売を控えるなど、今後も年間数件ペースで販売を拡大する計画だ。
 不動産経済研究所(東京・新宿)によると、16年の1戸当たりの販売価格が1億円以上の億ションの発売戸数は1265戸と2年連続で1千戸の大台に乗せた。10~12年は600~900戸前後で推移したが、13年に1500戸を突破。14年に900戸台に減らしたものの、再び1千戸の大台に乗せた。
 郊外物件の売れ行きが鈍い一方、都心エリアは安定した資産価格が見込まれるとして好調だ。

2017年11月14日火曜日

都心・駅近をキーワードに地方でも積極供給/野村不HD

野村不動産ホールディングス(株)執行役員住宅部門長の山本成幸氏は10日、専門誌記者と会見。住宅分譲事業について説明した。
 同社の1~9月期の分譲マンション契約件数は3,000戸超と順調に推移。同期間の市場に占めるシェアも12.4%と昨年比約4ポイント上昇しているとした。「昨年は即日完売が難しい物件が多かったが、今年は実現できるケースが増加している。“都心”“駅近”をキーワードに供給していることもあり、販売価格は4,000万~6,000万円の価格帯が減少し、8,000万円超の価格帯が増えている」(山本氏)。なお契約者年代は40歳以上60歳未満の年代が減少し、20歳以上40歳未満の層が拡大。「20~30歳代の共働き世帯が、年収の8倍程度の価格帯のものを購入するケースも増えてきている」と説明した。
 年間6,000戸を安定的に供給していくために、用地取得も積極的に進めており、17年度は上期3,200戸分を取得。下期の予定と合わせて約7,000戸の取得を計画したと説明。17年度下期以降のストックとして2万3,200戸を確保。内訳は、首都圏での「PROUD」で1万4,500戸、「OHANA」で1,700戸、首都圏戸建てで2,200戸、地方圏マンション・戸建てで4,800戸を供給していく計画だ。「OHANA」については、「市場環境は去年が最も厳しかった印象だが、今年は新築マンション市場の価格高騰で逆にお客さまは戻ってきている印象。一定数は確保して供給していく計画。従来よりサイズを縮小し100戸程度のものもプランニングするなどして、竣工までの完売実現を目指して取り組む」とした。
 また、地方中核都市でのマンション供給を本格化。今年度は富山県と新潟県で計2物件の供給を予定しているほか、静岡県、岡山県での計画も進行中。「富山県と新潟県は、地元に強い会社とのJV。静岡と岡山は再開発を利用しての供給。地方でも資産を持つ人は一定数いらっしゃる。そうした人が求める場所・求める仕様のものを供給していく」と述べた。
  戸建事業については、「郊外エリアで戸数をかせぐより、都心部の高額物件の供給を進めていく考え」と述べ、東横線や田園都市線沿線で、敷地30坪・建物面積28坪ほどの規模の高額物件の分譲を継続供給していく考えを示した。

2017年11月13日月曜日

ウーバー、ソフトバンクなどによる数十億ドル規模の出資提案承認

米ウーバー・テクノロジーズは、ソフトバンクグループなどによる数十億ドルの出資提案の受け入れを承認した。株式非公開の新興企業を対象とする取引では過去最大規模の一つとなる。
合意により、ソフトバンクなどはウーバーに最大10億ドル(約1137億円)投資し、今後数週間で最大90億ドル相当を既存株主から取得する買い付けを実施する。保有株を手放す売り手が十分集まらない場合、頓挫する可能性もある。合意にはウーバーのガバナンス(企業統治)変更も含まれる。
ウーバーは発表資料で、「当社はソフトバンクとドラゴニア率いるコンソーシアムと投資の可能性について合意を交わした。合意はウーバーの長期的な将来性に対する力強い信認だと考える。手続き完了後、これがわれわれの技術投資や内外での事業拡大の継続を支援するだろう」と説明した。

2017年11月12日日曜日

TPP11・Q&A 暮らしへの影響は 牛肉やオレンジ安くなる

米国を除くTPP11カ国が大筋合意した内容について暮らしや企業活動への影響をQ&Aでまとめた。

 Q 暮らしへの影響は

 A 日本はTPPで輸入品の関税撤廃・削減を約束しているので、主に農水産品が安くなる見込みだ。牛肉には38・5%の高い関税がかかっているが、発効から16年目に9%に下げる。日本にとって輸入量3位のニュージーランド産は安くなり、既に経済連携協定(EPA)を結んでいる輸入量首位のオーストラリア産も一層の値下がりがあり得る。またオレンジにかかる16~32%の関税も6~8年目になくなる。輸入量2位の豪州産の価格が下がり食卓に恩恵が及びそうだ。

 Q 関税以外に影響はないのか

 A TPPでは制度やルールの調和も進める。例えば海外で携帯電話を使う際、現地企業を経由して通信する「国際ローミング」は、透明性や合理性のある料金になるよう協力することで一致した。海外での通話料金の引き下げにつながる見込みで、旅行者や出張者には朗報だ。

 Q 企業への恩恵は

 A 日本が輸出する自動車など工業製品への関税が下がり、価格競争力が上がると期待される。ベトナムは輸入車に最高83%の高関税をかけているが、発効から13年目になくなる。カナダも6・1%の輸入車関税を5年目になくす。他にもニュージーランドがエアコンにかける5%の関税がすぐになくなるなど輸出産業に追い風となる。

 Q 海外展開は進むのか

 A ベトナムで小売企業が2店舗以上出店する際の審査がなくなり、コンビニエンスストアなどが進出しやすくなる。マレーシアではATM(現金自動預払機)の設置制限が原則なくなるので、金融機関の海外展開を後押ししそうだ。

2017年11月11日土曜日

10月の首都圏既存M成約数は7%減

(公財)東日本不動産流通機構は10日、2017年10月度の首都圏不動産流通市場動向を発表した。
 同月の首都圏中古(既存)マンション成約件数は3,103件(前年同月比7.1%増)と再び減少した。都県別では、東京都1,586件(同5.8%減)、埼玉県345件(同15.9%減)、千葉県410件(同4.6%増)、神奈川県762件(同10.8%減)と千葉県を除き前年を下回った。
 1平方メートル当たりの平均成約単価は50万1,600円(同3.3%上昇)、平均成約価格は3,209万円(同2.3%上昇)と、共に13年1月以来58ヵ月連続上昇となった。新規登録件数は1万7,391件(同0.5%増)と2ヵ月連続で前年同月を上回った。在庫件数は4万4,619件(同4.2%増)となり、15年6月以来29ヵ月連続で増加している。
 既存戸建ての成約件数は1,086件(同5.6%減)。平均成約価格は3,105万円(同1.5%上昇)となった。

2017年11月9日木曜日

健美家、公取協と連携し、違反事業者の広告掲載を停止

健美家(株)は7日、(公社)首都圏不動産公正取引協議会と連携し、公正競争規約違反の事業者に対する広告掲載停止の施策を実施すると発表した。
 同社の配信している収益物件の情報サイト「健美家」において、不動産の表示に関する公正競争規約に違反し、「厳重警告・違約金」の措置を講じた不動産事業者の広告掲載を、原則として1ヵ月間以上停止する。実施は、2017年11月度の措置分から。

2017年11月7日火曜日

タイ・バンコクで分譲住宅7事業に参画/三井不

 
三井不動産(株)は、タイ・バンコクで推進中の分譲住宅5物件(計約3,900戸)の販売を6月より開始。6日、新たに2物件の事業に参画したと発表した。
 7物件は、バンコク中心部ヴィクトリーモニュメント地区、ラマ9世地区、トンロー地区など、いずれも住宅地として評価の高いエリアに位置。スカイプールやジム、SPAなどの共用施設を設け、高い居住性能を図る。
 同社グループは、2013年よりバンコクでの住宅分譲事業に参入しており、今回の参画をもって同事業は合計20物件、戸数は約1万6,000戸となる。また、より一層の安定・継続的な事業拡大を目指し、2017年2月1日に現地法人「MITSUI FUDOSAN ASIA(THAILAND)Co.,Ltd.」を設立。同年11月には、同社から共同事業者であるタイの有力住宅ディベロッパー「アナンダ社」に非常勤取締役を派遣し、パートナー関係を強化していく考え。

2017年11月6日月曜日

管理会社からの申込書取り寄せ、FAXが9割

不動産賃貸業務に特化した電子申込顧客管理ツールを提供する(株)セイルボート(広島県広島市、代表取締役:西野 量氏)はこのほど、賃貸入居申込書に関する仲介会社の実態調査結果を発表した。
 調査期間は9月5~12日。不動産賃貸会社(仲介会社・管理仲介会社)の仲介営業担当を対象に、インターネットよるアンケート調査を実施。サンプル数は113人(首都圏60人・ほかエリア53人)。1人当たりの月間平均仲介件数は全体平均8.0件、首都圏平均9.1件。
 管理会社からの申込書の主な取り寄せ方法については、FAXが9割。首都圏の方がFAX依存度が高い結果となっており、申込業務における業務効率化(IT化)は果たされていないと見られる。
 FAX利用の理由については、「管理会社がFAXでしか対応していない」が半数を占め、仲介会社自身がFAXが楽という理由も多かった。
 申込書に関する不満では、フォーマットやルールがバラバラで統一されていない点が多く挙げられている。
 申込人からの回収方法では、内覧後店舗に直帰し、申込書を記入してもらっている割合は7割。その理由は、「早く申し込み(部屋止め)をして競合他社に先を越されないようにするため」が7割となっている。
 同調査結果について、同社では、「この10年で着実にIT化が進んできた不動産業界だが、集客のための広告出稿におけるIT化が主であり、バックヤード、特に管理会社と仲介会社のやりとりが発生する業務レイヤーにおけるIT化はいまだ進んでいない。申込業務をIT化すれば、管理会社、仲介会社の不動産業務の効率は劇的に向上。高い顧客サービスの提供が可能になる」などとコメントしている。

2017年11月5日日曜日

「京橋エドグラン」が土地活用モデル大賞最高賞に


 日本土地建物(株)は、同社が事業を推進した京橋二丁目西地区第一種市街地再開発事業「京橋エドグラン」が、(一財)都市みらい推進機構が主催する「平成29年度土地活用モデル大賞」の最高賞である「国土交通大臣賞」を受賞したと発表。
 「土地活用モデル大賞」は、土地活用の成功モデルとなる模範的事例を募集・表彰し、全国的に紹介することでその普及を図る取り組み。
  「京橋エドグラン」は、地上32階地下3階建ての、事務所、店舗、公共公益施設などからなる複合ビル。従前区道を廃道し2つの街区を統合することで、業務商業機能の更新や公共公益施設の整備に取り組んだ点や、保存・再生した歴史的建築物棟と新築した再開発棟を再開発事業で整備点などが評価されたという。

2017年11月4日土曜日

なぜそこまで芸能人に愛される?麻布ピッコログランデの魅力とは?

麻布十番という街を語る上で欠かせない名店である『ピッコログランデ』。 

グルメな芸能人のファンも多く、なかには「マイ・キッチン」と呼び、連日連夜顔を出すファンもいるほど。 

今回は冬期限定の名物「バーニャカウダ」の美味しさとともに、『ピッコログランデ』という店のもつ求心力に迫りたい。

客席は1階席と2階席を備え、連日連夜賑わう

麻布十番を語る上で欠かせない名店
日本の素材を生かしてイタリア各地の料理にアレンジし提供するイタリアンレストラン『ピッコログランデ』。食通ならば一度は訪れておきたい名店のひとつである。 

そんな名店へは麻布十番駅からアクセス。もちろん六本木周辺で待ち合わせて、タクシーで向かうのもいいだろう。 

ヨーロッパの田舎風建築の一軒家レストランからは、いつも賑やかな雰囲気が漂い、訪れる人を温かく迎え入れてくれる。

まずテーブルに運ばれてくるのは、鍋に入ったアンチョビソース。

寒い季節しか食べられない!カラダの芯から温まる名物とは?
この時期『ピッコログランデ』を訪れたならば「バーニャカウダ ピッコログランデ風」のオーダーは外せない。 

「バーニャカウダ」と聞いて、誰もが生野菜をアンチョビとニンニクのソースで食べるものと思うだろう。しかし、この店のバーニャカウダはひと味もふた味も違う。今まで食べていたバーニャカウダは何だったんだろうと思うほど驚愕の美味しさなのだ。 

秘伝のソースは、ニンニクとアンチョビを混ぜ合わせペースト状にした後、生クリームと牛乳でのばし、この絶品ソースが完成する。

毎年10月下旬~3月頃(予定)まで提供される「バーニャカウダ」は一度食べたら忘れられない美味しさ ※バーニャカウダの提供期間はその年により異なる

バーニャカウダを煮込む!秋から冬だけの季節に味わえる名物メニュー!
最初にテーブルに運ばれてくるのは、鍋に入ったアンチョビソース。そうお気づきの通り、このバーニャカウダは生野菜を食べるのではなく、このソースで野菜を煮込んで食べる料理なのだ! 

鍋の登場とほぼ同時に、たっぷりとお皿に盛られた生野菜も登場。鍋に入りきるかと不安になるほどのボリュームである。 

野菜はキャベツ、ニンジン、ヤングコーン、アスパラ、カブ、ブロッコリー、インゲン、パプリカなど種類も豊富。野菜を煮る工程は全てスタッフが行ってくれるので、初訪問者にも心強い。

まずはキャベツ以外の野菜を鍋に丁寧に並べ入れていく。この時点で既に鍋はキャパオーバー状態にも見える……

開業当時からこのスタイルでの提供を続け「もっと野菜を美味しく食べてもらえる方法はないか?」と改良を重ねていった結果、現在のスタイルに辿り付いたのだという。

もはや鍋のキャパは無視!上からどーんとキャベツをのせる。これが『ピッコログランデ』の名物だ!

20分ほど煮込む時間がかかるが、この味を一度知ってしまうと完成を待つ時間さえも愛おしく思えてしまうから不思議である。 

自家製アンチョビソースは、煮込むほどに野菜の水分を含み、濃厚なソースからさらりとしたスープへと変身していく。

ついに完成!野菜出汁がたっぷりと溶け出したアンチョビソースは、極上のスープに変身

これがまたゴクゴク飲みたくなるほど美味しいのである。既にソースの段階でも充分美味しいところに、野菜の旨みが流れ込むのだから、美味しさは増大するのは想像に難くない。