2016年8月30日火曜日

【「驚きの次元が異なる」 勝どきザ・タワー】


鹿島建設(幹事会社)、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友商事、野村不動産の5社JVマンション「勝どきザ・タワー」を見学した=写真は完成予想図。わが国のマンションの歴史に残るマンションであるのは間違いない。シアターのパクリだが、「驚きの次元が異なる」素晴らしいマンションだ。

物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩6分、中央区勝どき5丁目の敷地面積約10,000㎡に位置する53階建て全1,420戸(事業協力者住戸102戸含む)。専有面積は40.42~120.55㎡、価格は未定。実施設計・施工は鹿島建設。竣工予定は平成28年12月下旬。販売代理は三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住商建物。販売予定は5月下旬。


現地は、施行面積約1.9haの「勝どき五丁目地区第一種市街地再開発事業」の一角。再開発の計画が持ち上がったのが平成18年というから、わずか6年で供給にこぎつけた。中央区の指導のもと都や民間の地権者などの決断がこのようなスピード感のある事業となった。この速さは全国的にも珍しいという。


敷地の南東側には清澄通りを挟んで「ザ・トウキョウ・タワーズ」が建っている。北西方向には隅田川を挟んで浜離宮がある。2016年開通予定の環状2号線・隅田川橋りょうができれば、浜離宮や汐留駅は徒歩圏になる。


戸数規模は、タワーマンションとしてはわが国最大級で、3方に翼を広げたようなトライスター型としては「芝浦アイランドケープタワー」(同社施工)、「スカイズ」(清水建設施工)ついで首都圏で3棟目。3棟の連結部に制震装置を配置した世界初の「VDコアフレーム構法」を採用したほか、眺望・開放感を妨げない「ダブルチューブ架構」、床の段差を減らす「段差付ハーフPCaスラブ」、快適空間を実現する「逆梁・順梁」の併用など、同社の最新の建築技術を盛り込んでいるのが特徴。


外観は白を基調としたアウトフレームで構成。角住戸は大きいガラスカーテンウォールを採用し、濃いグレーのデザインで分節することで陰影の深いシャープで凛としたデザインにしている。


モデルルームは4タイプ。60㎡は単身・DINKSの入居を想定した白が基調のデザイン。最上階の120㎡のプレミアム住戸は天井高が約4mで、天然石、天然木をふんだんに使用した億ション。カップボード、吊戸棚は標準装備。浴室、トイレには緊急呼び出しボタン付き。ゲストルームは6室で、約60㎡のモデルルームはホテルのスィートクラス。

マンションギャラリーのシアターは3つ。そのうちのひとつは、模型のような固定装置ではなく、ホログラムシアターによって立体的な画像で視覚的に分かりやすく表現している。巨大ジオラマは5.4×5.8m。主だった建物はほとんど実際の建物と同じように彩色。六本木から豊洲までの都心部を再現している。

これまで資料請求は約1万件、来場者は約2,000件。同社事業部担当部長・芳賀泰彦氏は、「たくさんの反響をいただいている。価格を決めるのはもうすぐだが、難しい。競合物件もあり、選手村にもたくさんのマンションが建つし、再開発計画も目白押し」と、価格は公表しなかった。

記者は鹿島のファンだ。これまで同社の自社分譲マンションはほとんど見てきたし、同社施工の主だったマンションも見学してきた。どう客観的に評価しても、マンションを造らせたら同社がナンバー1だと思う。

その鹿島が先の施工ミスがマスコミに報じられたときはショックを受けた。他の大手2社も相次いで施工ミスをやらかした。情けないとしか言いようがない。ゼネコンはBtoBの業態だが、マンションはBtoCでもある。ユーザーはデベロッパーと同じくらい施工会社を選んでいるということを銘記すべきだ。バブルがはじけたとき同業のほとんどから不動産事業から撤退したのに対し、鹿島だけは継続してきた。それが現在の評価につながっている。

今回のマンションについては芳賀氏や事業部担当部長・重松諭氏から1時間30分にわたって説明を聞いた。改めて同社の技術の高さと、モノづくりのこだわりを肌で感じた。


一つひとつは書ききれないが、もっとも驚いたのは巨大ジオラマだ。森ビルの「六本木ヒルズ」のような精緻なものではないが、おそらく製作には1千万円単位の費用がかかっているはずだ。ジオラマごときで“わが国初”などと書くべきではないが、これはすごい。


共用部には凹凸のある採石したままのような石が採用されているが、芳賀氏によると、中国まで担当者が出かけ、実験場を設け、ああでもないこうでもないと選んだものを採用するという。


モデルルームのデザインもいい。とにかく壁、サッシ、建具の線が美しいのだ。これはいかんとも説明のしようがない。担当者の感性というほかない。

さて、問題の価格。芳賀氏も重松氏も堅い口を閉ざしたままだった。ここは記者の評価・予想ということで読んでいただきたい。


記者は三菱地所レジデンスと同社のJV「ザ・パークハウス晴海タワーズ」の分譲開始時に、「現段階で最高レベルのマンションとして坪単価320万円の価値があると」書いた。いまでもその評価は変わらない。

今回は「晴海」をしのぐ。基本性能、設備仕様はともかく、立地条件が「晴海」をはるかにしのぐからだ。このマンションの計画が浮上したとき、記者は南ばかりをみていた。つまり、「ザ・トウキョウ・タワーズ」が南東側にそびえ立っているので、住戸によってはその日影が影響し、眺望も損なわれるので、そんなに高く売れないとずっと考えてきた。

見落としていたのは北側だった。環状2号線が開通すれば、浜離宮が徒歩圏になることなど全然考えていなかった。汐留駅も徒歩圏になる。「汐留」に近いマンションであることが訴求できれば飛躍的に注目度は高まる。トライスター型にしたのはなるほどと思った。これだけ条件が揃えばいくらになるか…価格は市場が決定するのでここでは書かない。

もう一つ。細かなことだが、建物中央部には「ライトチューブ」と呼ぶ吹抜け空間を設け、太陽光追尾装置によって自然の光を下層階に取り入れる。この太陽光追尾装置はビルなどではかなり採用されているはずだが、マンションでは記者は首都圏では1~2例しかしらない。

2016年8月29日月曜日

【2018年 日比谷が再び輝きだす 都心型スマートシティ ~国際ビジネス・芸術文化都心「日比谷」の街づくり~ 「(仮称)新日比谷プロジェクト」着工】

三井不動産株式会社は、千代田区有楽町一丁目所在の「三信ビルディング」(昭和5年竣工)および「日比谷三井ビルディング」(昭和35年竣工)の跡地において「(仮称)新日比谷プロジェクト」として一体的な再開発計画を推進しておりましたが、本年1月28日に着工し、本日起工式を執り行いました。なお、本プロジェクトは2018年1月末に竣工する予定です。

本プロジェクトは、オフィス・商業などから構成される大規模複合開発です。周辺エリアを含めた『国際ビジネス・芸術文化都心「日比谷」の街づくり』の中核を担うプロジェクトであり、日比谷公園や周辺の劇場・映画館と連携した芸術文化発信や、国内外のベンチャー企業・中小企業の事業拡大および新産業創出などを支援するビジネス連携拠点として、昨年末に東京圏で初となる国家戦略特区の区域認定を受けております。

本プロジェクトのマスターデザインには、ロンドンを拠点とする建築事務所「ホプキンス アーキテクツ」を起用し、歴史や立地特性を最大限に活かした当地に相応しい外装デザインやランドスケープを実現します。

またこの度、本プロジェクトの商業施設ゾーンにTOHOシネマズ株式会社の出店が決定し、都心最大級のシネマコンプレックスが完成する予定です。日比谷は東宝グループ創業の地であり、当社およびTOHOシネマズ株式会社は、国際的なエンターテインメントイベントの誘致・開催等、街の特徴を活かした魅力と賑わい溢れる街づくりを共に目指してまいります。

当社は、本プロジェクトを日本橋地区において推進中の「日本橋再生計画」とならぶ都心型スマートシティと位置付け、『国際ビジネス・芸術文化都心「日比谷」の街づくり』を通じて、東京の国際競争力強化に資する取り組みを一層推進してまいります。
【「(仮称)新日比谷プロジェクト」の主な特徴】
1.国際的な芸術文化発信、ビジネス連携等の拠点(国家戦略特別区域)

平成26年12月19日に開催された第10回国家戦略特別区域諮問会議にて、本プロジェクトは東京 圏として初となる国家戦略特別区域として内閣府より計画認定されました。
2.当地の歴史や立地特性を活かした「ホプキンス アーキテクツ」によるマスターデザイン

日比谷公園との緑の連続性や眺望を活かしたランドスケープや施設計画といたしました。外装は、高層部においては明治期の「鹿鳴館」を始め国際交流や西洋文化の先駆けとしての歴史を踏まえたデザインコンセプト「DANCING TOWER」とし、低層部は三信ビルディングをモチーフにしたデザインとしており、品格あるエレガントな外装デザインを実現しました。

計画建物6階
「(仮称)日比谷テラス」イメージパース

計画建物1階外構
「(仮称)日比谷ゲートプラザ」イメージパース
(千代田区有地と一体的に整備する約3,600m2の広場空間)

日比谷交差点付近からの鳥瞰

三信ビルをモチーフにした低層部
イメージパース

デザインイメージスケッチ

  1. 3.東宝グループと連携した賑わいづくり
    建物4階には11スクリーン、約2,300席のシネマコンプレックスの新設に加え、隣接する東京宝 塚ビル内のスカラ座・みゆき座(約800席)との一体運営により、全体で13スクリーン、約3,000 席の「(仮称)TOHOシネマズ日比谷」が誕生。
    国際的なエンターテインメントイベントの誘致 国際的なエンターテインメントイベント等を誘致することで、日比谷エリア全体の価値向上、賑わいを創出。

    「(仮称)日比谷ゲートプラザ」でのイベントシーンイメージ

    1. 4.国内最高水準の安全・安心の提供
      自律性の高いエネルギーシステムの導入
      中圧ガスによる発電が可能なガスコージェネレーションシステムの導入と、オイル、中圧ガス双方に対応するデュアルフューエル型非常用発電機の導入により災害時の電力供給の自律性を向上。
      停電時、停ガス時に、共用部だけでなく専用部に対しても電気・熱を供給。平常時と同じような環境で業務を継続することが可能。
      最高水準の性能を誇る制震構造
      エネルギー吸収力の高い高性能のオイルダンパーを通常の制震構造より多く、かつ効率的に配置することにより耐震性能を向上。
      震度7クラスの地震(2000年の建設省告示で規定された地震動の1.5倍レベル)に対して、耐震安全性を確保。
      帰宅困難者受入機能の強化
      千代田区最大級となる約5,000m2の一時滞在施設の整備、災害用備品を保管する備蓄倉庫(約200m2)を設置。
      デジタルサイネージ等を利用し、帰宅困難者に災害時の情報提供などを実施。
      日比谷線と千代田線の「日比谷」駅をつなぐバリアフリー動線の整備
      日比谷線と千代田線「日比谷」駅の2駅間をつなぐ地下バリアフリー動線を整備。
      地上へのエレベーターを2基新設し、利便性を向上。

      ▲クリックすると拡大します

【「(仮称)新日比谷プロジェクト」物件概要】
計画地 東京都千代田区有楽町一丁目1番ほか
交通 東京メトロ日比谷線「日比谷」駅、千代田線「日比谷」駅 直結
都営地下鉄三田線「日比谷」駅 直結
JR山手線、京浜東北線「有楽町」駅 徒歩5分
東京メトロ丸ノ内線、日比谷線、銀座線「銀座」駅直結(徒歩5分)
主要用途 事務所、店舗、文化交流施設、産業支援施設、駐車場等
敷地面積 約10,700m2
延床面積 約189,000m2
階数 地上35階、地下4階、PH1階
最高高さ 約192m
設計 マスターデザインアーキテクト ホプキンスアーキテクツ
都市計画・基本設計・デザイン監修 株式会社日建設計
実施設計・監理 KAJIMA DESIGN
施工 鹿島建設株式会社
スケジュール
(予定) 2015年1月28日(着工)
2018年1月末(竣工予定)

【計画図】
配置図

▲クリックすると拡大します
断面図

2016年8月28日日曜日

【宮下公園が東京オリンピックに向けリニューアル、宿泊施設も】


渋谷方面イメージ
渋谷区が、渋谷駅中心地区の再開発と連携して、渋谷川から原宿や代々木方面への緑の連担性を形成するために、宮下公園と渋谷駐車場を緑の拠点として整備する事業の担当事業者を三井不動産株式会社に決定。この再開発で、周辺への賑わいを創出し、東京オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップを迎えるのにふさわしい施設の整備を目指す。
 
左) 原宿方面イメージ、右) 多目的広場イメージ


リニューアルによって、渋谷らしい「発信力を持った公園」として新たなトレンドやライフスタイルの発信拠点を実現すること、渋谷エリアを繋ぐ活性化のハブとして歩行者と緑のネットワークを形成し周辺地域に貢献することが新施設のコンセプト。これまでのフットサルコートや多目的広場だけでなく、商業施設や宿泊施設も備える。

なお新施設は、2019年8月の開業を予定している。

【施設概要】
開業日:2019年8月
・新宮下公園(施設屋上部分)
・駐車場(現状の都市計画台数243台以上)
・民間施設(商業施設、宿泊施設)


2016年8月27日土曜日

【2016年秋、渋谷・宇田川町に新たな商業施設誕生】


2016年秋、渋谷・宇田川町に新たな商業施設が誕生する。

この商業施設は、井の頭通り沿いの宇田川町エリアに登場。渋谷駅から徒歩4分とアクセスもよく、ファッションやカルチャーなどを中心に、ライフスタイルにこだわりを持つ人々へ向け、新たな流行や情報発信を目指す。

面積は、282.46平方メートル、延床面積は2,016.43平方メートル、地下2階から地上10階建てとなる予定。渋谷の新たなランドマークを見逃さないで。

【施設詳細】
着工:2015年5月 ※予定
竣工・開業:2016年秋頃 ※予定
住所:東京都渋谷区宇田川町83番4、5、6
敷地面積:282.46 ㎡(85.44 坪)
延床面積(予定):2,016.43 ㎡(609.97坪)
構造・規模(予定):地下2 階/地上10 階



2016年8月26日金曜日

【渋谷パルコ、2016年8月7日より一時休業 - 19年秋に複合施設に】


渋谷パルコが2016年8月7日で一時休業。43年の歴史に一旦幕を閉じることになった。大規模な建て替えを行い、2017年3月に着工、新しい施設として2019年秋の開業を目指す。

建て替えは、宇田川町の再開発計画に伴うもの。約5,380平方メートルの敷地に、地下3階、地上20階、高さ約110メートルのビルを建設。延べ面積は約65,000平方メートルとなり、店舗や事務所、劇場などを含む複合施設になるという。
新パルコ劇場も最新の施設として生まれ変わる予定で、再開するまで(劇場休館中)のパルコ・プロデュース公演は、外部会場での公演を継続するという。

パルコミュージアムは、池袋パルコ本館7階に移転。移転後も機能はそのままに、アート・デザイン・カルチャー・ファッションなど、枠にとらわれず多種多様な企画を生み出す空間を目指す。


2016年8月25日木曜日

【10年後に東京で最も風景が変わる街】

平成27年1月、JR「渋谷」駅の東口に立つと、以前はそこにはあったはずの大きな建物が取り壊され、工事現場では大型の建設機械が動き回っています。世界的大都市の中でも東京は建物のスクラップ&ビルドのサイクルが早いのが特徴だと言われますが、オリンピック開催が決定し、そのサイクルが一層早まったようにも感じます。 その東京の中でも今後10年で街の風景が最も大きく変わるのはおそらく渋谷の街かもしれません。時代時代でずっと変化してきた渋谷。
今回はこの渋谷の次世代へ向けた再開発を取り上げます。

「若者の街」からの脱却、次世代産業の中心地となるべく大改造中

谷は1970年代からずっと若者文化の中心地であり続けました。1980年代は「西武vs東急」という図式で、次々と開発が進みます。街が周辺に拡がり、その拡がったエリアの裏通りでは、安い賃料で借りられる小さなビルに10代20代向けのお店が集まりだしました。ここから1990年代にはファッションや音楽などサブカル分野で「渋谷系」と呼ばれる若者文化が花開くことになります。
ただ、低年齢化が進んだことで、「渋谷は大人にとって魅力が薄い街」とみられ、2000年以降は「渋谷の斜陽化」とメディアに取り上げられることも増えました。

しかし2010年代に入り渋谷は再び変化の時を迎えています。IT企業の集積、ファッション業界の中心地、外国人居住といった渋谷および周辺エリアの特性を背景にして、クリエイティブ・コンテンツ産業の活性化と観光都市化が目標として掲げられています。交通インフラの整備を中核として、大規模でかつ総合的な開発が目白押しです。

「渋谷」駅周辺で進む再開発マップ
「渋谷」駅周辺で進む再開発マップ

2016年8月24日水曜日

【50年、100年に一度の再開発 渋谷大改造の全貌 】

「50年や100年に一度」といわれる規模で進む東京・渋谷駅周辺の再開発。シンボルとなる最も高い「渋谷駅街区東棟」の工事がいよいよ本格化する。2014年7月31日に起工式が開かれた。東急東横線の地上線路跡地で進む再開発も含め、渋谷大改造の全貌を詳報する。



 渋谷駅街区東棟は地下7階、地上46階建てで高さは228.3m。2012年4月に開業した「渋谷ヒカリエ」の高さ182.5mよりも45mほど上回る。





東棟は商業施設やオフィスが入る超高層複合ビルとなる。図は、北側から見た東棟の完成予想図。左端は2012年4月に開業した「渋谷ヒカリエ」(資料:東急電鉄)







[左]現在の渋谷駅東口を北側から見る。左端は「渋谷ヒカリエ」(写真:ケンプラッツ)
[右]東棟の完成予想図を重ねる。東棟はヒカリエよりも45mほど高くなる(資料:東急電鉄の資料を基にケンプラッツが作成)


 東棟の14階までの低層部は延べ面積3万m2(平方メートル)の大規模商業施設、15階にコンテンツ産業などの情報交換を促す「交流施設」を挟み、16階から上の高層部はオフィスが入居する。オフィスの賃貸面積は計7万m2で、渋谷駅周辺では最大規模になる。


2016年8月23日火曜日

【「広尾ガーデンヒルズ」分譲開始は坪251万円 バブルのピークアウト時には坪3000万円】

昨夏の米国サブプライムローン問題をきっかけに、わが国の不動産市場は泥沼の様相を呈している。わが国のバブル崩壊から18年。歴史は繰り返すというが、米国はわが国のバブル崩壊を全然学習していなかったということであり、わが国も〝流動化事業〟なる言葉で、一部の不動産が転がしの対象となったのは事実だ。もう一度、わが国のバブルとは何だったのかを検証してみよう。

 ただし、バブルを生んだ背景、経緯などについては、これまでもたくさん書籍が発行されているのでそれらを読んでいただきたい。ここでは、不動産業界も含めいかにわが国が愚かしいことをやっていたかを紹介する。今回は、当時、マネーゲームの格好のターゲットになった「広尾ガーデンヒルズ」を取り上げる。

 「広尾ガーデンヒルズ」は、東京メトロ日比谷線広尾駅前の日赤病院跡地約6.6ヘクタールに建設された高級マンションで、昭和57から61年まで4~14階建て全15棟1228戸が分譲・建設された。売主は三井不動産、三菱地所、住友不動産、第一生命の4社で、施工は鹿島建設、清水建設、大林組、大成建設、三井建設、三菱建設の6社。

 「広尾ガーデンヒルズ」の分譲動向は次の通りだ。

販売時期  分譲ソーン       戸数    最多価格帯  坪単価
57/11    イーストヒル       227戸     7300万円台  251万円
58/4     ノースヒルL棟      94戸     7400万円台  254万円
58/9     ノースヒルNO棟    188戸     7800万円台  262万円
59/2・6   センターヒルGH棟  162戸     9600万円台  292万円
59/2・9   ウエストヒルIJK棟  272戸     6800万円台  262万円
60/4     サウスヒルD棟      79戸   1億2900万円台  426万円
60/9     サウスヒルF棟      63戸   1億6000万円台  420万円

 1期187戸の専有面積は約44~156平方㍍、価格は3590万~1億5770万円(最多価格帯7500万円台)、坪単価は251万円だった。抽選は57年11月9日に行われ、最高209倍、平均40.8倍で即日完売した。来場者は4754組だから、来場者の2倍近い人が申し込んだ計算になる(ダミーで申し込んだ人が相当数あったため)。

 申込者の属性は、①年齢は35~60歳で、ほぼ5歳刻みで同じ比率②年収は800万円台~1億5000万円台が約半数③居住地は城南、城西が35%、その他都内が24%④職業は大手企業の管理職以上、会社経営者、医者、外国人、弁護士、不動産、サービス業など⑤買い換えは約60%――などとなっていた。来場者の4人に1人はベンツなど外車での来場だった。

 記者は、抽選日当日、午前10時から午後2時過ぎまで、現地販売事務所の外で一人一人にインタビュー取材をしている。当時は、現在と異なり、1戸1戸、おみくじの要領で抽選が行われており、申込者が200~300人詰め掛けていた。

 ほとんどの人が外れて帰る中、7000万円台の住戸を引き当てた銀座クラブの独身の美人ママ(39歳)が興奮気味に次のように語ったのを記事にしている。

 「7000万円台のマンションが当たりました。嬉しくって歓声を上げそうになったのですが、周囲の人に悪いと思い、トイレに駆け込んで喜びをかみしめました。私、今日が39歳の誕生日なんです。資金計画? 四谷の30坪のマンションを売れば何とかなります。これで4回目の買い替えです。現地には30回ぐらい足を運びました」

 記事の見出しには「その時、銀座クラブの美人ママはトイレに駆け込んで歓びをかみしめた」と書いた。(その記事を載せた新聞を持っていけば、ただで飲ませてくれると思ったが、店の名前を聞くのを忘れて地団太を踏んだのを覚えている)

 当時のマンション市場は最悪で、月間契約率は50%ぐらいだった。値下げ販売が日常茶飯だった。単価的には、準都心部では百数十万円、郊外だと100万円台の前半が相場だった。「広尾」は都心の一等地ということを考慮すると、坪当たり数十万円は割安と言われていた。

 「広尾」の最終分譲が行われたのは昭和60年だが、単価は426万円と1期分時様から1.6倍に上昇した。これは駅にもっとも近い立地条件のよいところで、分譲住戸がほとんど億ションだったからでもあるが、国土法価格もかなり上昇していることを裏づけている。アングラでは「広尾」は当時、分譲単価を上回る坪500万円、600万円で取引されていたといわれた。

 〝マンション転がし〟という言葉が生まれたのもこの頃だ。当時、中古マンションを買い取り、内装などを手直しして売却する買い取り仲介はよく行われていたが、〝マンション転がし〟は、買ったままでその価格に2~3割の利益を乗せて転売するという新手の手法だ。大手のマンションデベロッパーもこの種の〝濡れ手に泡〟商法に手を染めた。買い取り物件だけでも月間100億円をつぎ込んでいるといわれたデベロッパーがあった。

 「広尾」は、このマンション転がしの格好のターゲットとなった。記者は、片っ端から登記簿を閲覧して転売状況を調べたことがあるが、1棟で10戸ぐらい購入しては転売しているところがあった。

 信じられないかもしれないが、バブルがピークアウトする平成2年には、何と坪3000万円の値がつけられた。1期分譲の10倍を超える値段が付けられたのだ。

 マネーゲームの対象となったのは、「広尾」のような高級マンションだけでなかった。ほとんど全ての一般的な新築マンションや中古マンションが投資の対象となった。信じられないような話を改めて次回に紹介する。

2016年8月22日月曜日

【三菱地所/東京駅前に390mの超高層ビル、2027年度開業】

三菱地所は8月31日、東京駅日本橋口前に位置する常盤橋街区3.1ヘクタールを再開発し、2027年度に高さ390mの超高層複合ビルを含む4つの棟と7000m2の広場を開業すると発表した。

<外観イメージ>
外観イメージ

東京駅日本橋口前の、日本ビル、朝日生命大手町ビル、JXビル、大和呉服橋ビルを一体で再開発する。敷地に隣接する常盤橋公園とJFE商事ビルも再整備し、2024年~2027年にJFE商事ビルを解体し、常盤橋公園を拡大する。


東京駅周辺で最大となる敷地面積3.1ヘクタールに大規模複合施設を整備するもので、三菱地所としては、大手町連鎖型再開発プロジェクト第4次事業となる。

既存の、街区内の下水ポンプ場と東京電力の変電所といった都市の重要インフラの機能を維持しながら、約12年の事業期間をかけて、段階的に4棟のビルを建設する。

ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルのように、都市のアイコンとなる施設を目指し、日本一の高さとなる390mのビルを建設し、東京の新しいシンボルとなる街を目指す。


2021年度に延床面積約14万m2、高さ約230mのA棟、2027年度に延床面積約49万m2、高さ約390mのB棟を建設、事務所、店舗、駐車場などを配置。2027年度に延床面積約2万m2、地下4階のC棟を建設し、店舗、変電所、駐車場を配置。2022年度に延床面積約3万m2、地上約65mのD棟を設置し、下水ポンプ場、事務所、駐車場などを配置する。

プロジェクトの総費用は、土地・建物を含め1兆円を超える規模となるが、三菱地所としての投資額は未定となっている。

ホテル、カジノ、展望台といった観光関連施設も想定するが、現時点では、オフィス、店舗、駐車場を設置する以外の中身は白紙としている。

12年という長期にわたるプロジェクトであり、12年後のオフィスの働き方、ライフスタイル、観光などさまざまなニーズの変化を予測することは難しいため、商業施設、観光施設、オフィスなどの具体的な規模、配置については、プロジェクト完成の目途がつくまでに順次、決定する方針だ。

現段階では、オフィス、変電所、下水ポンプ場、駐車場などに使用しない非業務面積として約6万m2を想定している。非業務面積には、約7000m2の大規模広場は含まない。

約6万m2の中に、最大規模となるB棟を中心に、商業施設、ホテル、展望台などを配置する予定だが、非業務面積の比率を含めて、今後、詳細を決定する。


「建築スケージュールを確定するためのハード面のスペックは、早期に決定するが、ハードをどう利用するのかソフト面は、社会情勢の変化を踏まえて柔軟に変化させるプロセスマネジメントを重視する」(同社)。

再開発対象地区の関係権利者は、三菱地所、東京都下水道局、大和証券グループ本社、三越伊勢丹、東京電力、大手町開発、都市再生機構など。地権者が限られていることから、再開発事業組合方式ではなく、三菱地所が個人施工主となり、事業を取りまとめる。

現在の権利関係者は、「日本ビル」は三菱地所、東京都下水道局、三越伊勢丹、「朝日生命大手町ビル」は常盤橋インベストメント特定目的会社、「JXビル」は三菱地所、東京電力、「大和呉服橋ビル」は大和証券となっている。

計画地に隣接する三菱地所が100%所有するJFE商事ビルを解体し、常盤橋公園を拡大する事業を付帯事業して行うため、建物の指定容積率を1300%から1510%に拡大した。

杉山博孝社長は、「現段階での土地・建物ベースの持分割合で、三菱地所は過半数以上をしめているため、プロジェクト完成後も持分割合の過半数を維持し、開発を主導したい」と語る。

本日、発表した建物イメージは仮であり、施設名称、ビルのデザインなどは、改めて発表する。決定に当たっては、公募やコンペなど、さまざま方法を検討している。

三菱地所は2016年3月に、名古屋駅前に「大名古屋ビルヂング」を開業する予定で、同施設内の商業ゾーンに、三越伊勢丹が小型セレクトショップをオープンする予定だ。

三菱地所は「三越伊勢丹は、名古屋駅前の再開発でも縁のある会社で、今回は関係権利者の1社となっている。具体的な話はまだ、何もしていないが、今後、両社で連携していきたい」と語る。

三越伊勢丹は「現段階では、関係権利者であるだけで、具体的な話は何もない。今後も、関係権利者として、何らかの形でプロジェクトに関わっていきたい」と語った。

計画概要
所在地:東京都千代田区大手町2丁目
中央区八重洲1丁目
地域地区:商業地域、防火地域、大手町・丸の内・有楽町地区地区計画、
都市再生特別地区、特例容積率適用地区
建築物の高さの最高限度:390m
敷地面積:約3万1400m2
延床面積:約68万m2(4棟の合計)
非業務面積:約6万m2(予定)
大規模広場:約7000m2
駐車台数:約750台
自動二輪:約75台
自転車:約155台
着工予定:2017年度
竣工予定:2027年度

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【港区 高級賃貸】










2016年8月21日日曜日

【「住友不動産新橋ビル」竣工】

■都の推進する特定緊急輸送道路の沿道耐震化に貢献する 旧耐震基準の隣接ビルを含めた複数ビルによる建替え開発
住友不動産株式会社は、新橋駅・大門駅徒歩 6 分、御成門駅徒歩 5 分、浜松町駅からも徒歩 10 分と 4 駅 7 路線利用可能で交通利便性が高い好立地において開発を進めておりました「住友不動産新橋ビル」 が、この度竣工いたしましたのでお知らせいたします。 当ビルは、地上 10 階建て、延床面積約 8,400 ㎡、建物構造に免震構造を採用したほか、万が一の事 故、災害に備えて 72 時間電力供給が可能な非常用発電機を実装したBCP(事業継続計画)対応に優 れたオフィスビルとして完成を迎え、竣工時より満室での稼働となりました。 当ビルは、東京都が沿道建築物の耐震化促進 を図っている特定緊急輸送道路(※)に指定され た第一京浜(国道 15 号線)沿いに位置してい ます。 従前にあった「住友東新橋ビル 4 号館」と、 隣接する旧耐震基準のビルを含めた複数ビル による建て替えを行い、新耐震基準を備えた新 たなビルに再生しました。 当社は、これまでも街づくりを担う民間デベ ロッパーとして、東京都心部を中心に今回同様 の単独では耐震化を実施しがたい中小ビルと 複数建築物による開発を行ってきました。今後 も土地の高度利用化を図ると共に、東京都の課 題とする“建築物の耐震化”といった防災性向 上にも貢献する開発を行ってまいります。




2016年8月20日土曜日

【東京23区の賃貸住宅賃料改定率、実質プラスの改定/スタイルアクト調査】

スタイルアクト(株)は17日、2016年4~6月期の「東京23区賃料改定状況調査」結果を発表した。同社の賃貸住宅データベースを基に、同一住戸の前回募集賃料と今回募集賃料を比較したもの。サンプル総数は5万8,198件。

 月額賃料20万円未満(一般賃貸市場)の賃料改定率はマイナス0.2%と前四半期と同程度で推移。当期までの築年が経過していることを考慮すると、実質プラスの改定としている。増額、据え置き、減額の割合も前四半期とほぼ同程度。一般賃貸市場は繁忙期を終えてなお、好調な状況が継続している。

 20万円以上(高額賃貸市場)の賃料改定率は0.7%で、07年第1四半期以降で2番目に高い水準となった。前回募集と比較して家賃を増額したのは46.5%と、約半数が増額改定をしているが、増額改定の割合は前四半期比2.1ポイント減少した。一方、減額改定の割合も3.0ポイント減少し、その分、据え置きの割合が増加した。賃料改定率は前回より上昇したが、増額改定に関しては、繁忙期を過ぎて落ち着きが出てきたと見られる。


2016年8月19日金曜日

【サイト上で人工知能による不動産会社紹介サービスを開始/リブセンス】


(株)リブセンスは18日、同社が運営する不動産情報サービス「IESHIL(イエシル)」(ベータ版)において、AI(人工知能)を使った不動産会社紹介サービス「AIアドバイザー」を、東京23区内でスタートした。

 「IESHIL」は、首都圏全域の主要マンション物件約27万棟の部屋別市場価値や価格推移、推定賃料情報を提示するもの。現在、専門アドバイザーによる不動産売買の基礎情報等を「イエシル・アドバイザー」サービスとして提供しているが、今回のサービスでは、AIがユーザーニーズに合った不動産会社を紹介する。

 ユーザーが売買の種別や物件エリア、広さ、金額等を入力すると、AIがパートナー不動産会社の強みや仲介実績など80項目にのぼるデータを基に分析。ニーズに合った不動産会社を最大3社まで紹介する。


2016年8月18日木曜日

【アークヒルズ開業・サントリーホール開館30周年 「アークヒルズ音楽週間 2016」開催】

地域とともに育む音楽祭。今年は会期を2週間に拡大し、特別企画も展開!

森ビル株式会社が運営するアークヒルズ(東京都港区)では、10月1日(土)~10月15日(土)の期間、近隣施設と連携を図り、「音楽がであう。音楽にであう。」をコンセプトに『アークヒルズ音楽週間 2016』を開催いたします。


過去開催の様子

■今秋開館30年!音楽・文化を育む街アークヒルズとともに、発展し続けてきた「サントリーホール」
~記念すべき年である今年の『アークヒルズ音楽週間』は、会期を1週間から2週間に拡大し特別開催~

東京初のコンサート専用ホールとして1986年に開館した「サントリーホール(総支配人:市本徹雄)」は、延べ16,570公演を実施、1,743万人の来場者(※2015年12月末時点)を誇り、コンサートを楽しむという文化そのものを日本に根付かせ、アークヒルズの文化発信の大きな磁力のひとつとなっています。

『アークヒルズ音楽週間』は、都市文化を楽しむライフスタイルを提案する「アークヒルズ」と、開館以来、世界の音楽芸術に触れる機会を創造している「サントリーホール」が、音楽をより多くの方に身近に楽しんでいただくことを目的にスタートした音楽イベントです。アークヒルズが開業25周年を迎えた2011年に初開催し、今年で開催6回目を迎えます。昨年は、アークヒルズ及び周辺エリアの合計18施設で74公演展開し、1万名を超えるお客様にご参加いただきました。

特別な年である今年は、音楽の都ウィーンを代表するオーケストラ「ウィーン・フィル」のガラ・コンサートを特別にライブ・ビューイングするほか、街を舞台に、音楽を通し年齢や国籍を越えた様々な人々が交流できるプログラムを展開いたします。

音楽週間は、アークヒルズのほか、泉屋博古館分館やスペイン大使館など近隣の美術館・大使館をはじめ、泉ガーデン、赤坂インターシティなど周辺施設も一体となりエリア全体で開催されるイベントです。期間中は、街のいたるところで音楽が奏でられ、今までに体験したことのない音楽に出会うことができる15日間となります。


2016年8月17日水曜日

【7月の首都圏マンション発売3割減、契約率も70%割れ/不経研調査】

(株)不動産経済研究所は16日、2016年7月の首都圏マンション市場動向を発表した。

 同月の発売は3,317戸(前年同月比30.7%減)。月間契約率は63.3%(同20.4ポイント低下)で、2ヵ月連続で70%台を割り込んだ。1戸当たりの平均価格は5,656万円(同5.0%下落)、1平方メートル当たりの平均単価は80万6,000円(同5.2%下落)と、共に2ヵ月連続の下落。

 即日完売物件は「インプレスト文京東大前」第1期(東京都文京区、20戸、平均2.3倍、最高12倍)など8物件226戸。20階以上の超高層物件は14物件220戸(同87.2%減)、契約率は54.1%(同38.1ポイント低下)。月末時点の販売在庫数は6,498戸で、前月末に比べて368戸増加した。

 なお、8月については2,500戸の発売を見込んでいる。


2016年8月9日火曜日

【野村不動産、東京・浜松町で3500億円再開発】

野村不動産ホールディングスは東京・浜松町周辺で大規模な再開発に乗り出す。総事業費は約3500億円。2020年にも着工し、30年の完成をめざす。オフィス中心の高層ビル2棟を建て、延べ床面積は最大50万平方メートルと三菱地所が27年度の完成をめざす東京駅前の超高層ビルに迫る。27年にも開業するリニア中央新幹線の新駅などに近い立地のよさを生かし、オフィス街としての浜松町を活性化していく。





2016年8月8日月曜日

【総合地所 長谷工コーポ・不二建設の子会社に】

長谷工コーポレーションは4月23日、同社と同社の子会社である不二建設が総合地所の全株式を取得し、子会社化したと発表した。

 総合地所は昭和52年に創業以来、首都圏と関西圏で「ルネ」シリーズでマンションや戸建て事業を展開しており、これまでマンションは約6.4万戸を供給。最近はソリューション事業、賃貸管理業、アセットマネジメント事業にも力を入れてきた。

 長谷工コーポは、同社グループの56万戸を超える施工実績と、総合地所のデベロッパーとしてお客さまと直接かかわってきたノウハウが融合することで相乗効果が高いと判断して株式取得を決議したとしている。

 総合地所の平成26年度3月期の売上高は38,787百万円、営業利益は924百万円、経常利益は772百万円。

◇      ◆     ◇

 このニュースには驚いた。記者は新米のころ、安宅産業が破たんし、その住宅部門の営業を承継し、安宅地所を設立したとき、古いビルの一室で当時の役員に取材し、デベロッパーとして独立する決意を聞いた。それからずっと取材してきたし、応援もてきた。その後、同社はレベルの高いマンションを供給してきた。

 思い出すのは、昭和58年当時のマンション不況期のころだったか。長谷工コーポレーション(当時長谷川工務店)もデベロッパーから敬遠されていた。「長谷工ブランド」では売れなくなったからだ。「長谷工隠し」という、マンションの広告から施工する同社の名前を掲載せず、建築現場のシートの「HK」マークを別のシートで覆い隠したこともあった。

 ところが、当時の安宅地所は施工・施工は長谷川工務店だったが、商品企画に確か日建ハウジングだったか東急設計だったかを絡ませ、素晴らしい「ルネ蒲田」(214戸)を分譲して早期完売した。うる覚えだが、1階部分の住戸は専用駐車場付きとしたはずだ。

 同じころ分譲した「ルネ蕨」(342戸)もふんだんに樹木を植え、これも早期完売した。「ルネ御苑プラザ」(301戸)は、それまでの投資用マンションとは全く異なるレベルの高いコンパクトだった。

 当時も圧倒的に施工費が安かった長谷工と設計・企画を分離することで、双方のいいところ取りをしたのが同社だった。コラボの走りだ。さすが商社(系)だと思ったものだ。マンション不況を脱出するのに同社がどれほど貢献したか言い尽くせない。日本ランディックとともにマンション商品企画を牽引した(三井不動産も頑張ったがこれは当然)。

 昭和21年設立の不二建設も由緒ある会社だ。今後、不二建設と総合地所の統合もあるかもしれないが、記者としては「不二総合」なり「総合不二」(やや語呂がよくないか)を残してほしい。


2016年8月7日日曜日

【本格化する渋谷駅周辺の大規模再開発】

渋谷駅周辺の再開発がいよいよ本格化する。

東京の主要ターミナル駅として多くの人で賑わう渋谷駅。駅周辺では現在大規模な再開発工事が広範囲にわたって進行している。



駅周辺の再開発は大きく分けて4つの街区、「渋谷駅街区」、「渋谷駅南街区」、「道玄坂街区」、「桜丘口地区」 に分かれる。それぞれの街区が高層ビルの建設を含めた大規模な開発であり、東京オリンピックが開催される2020年頃には駅を囲むように高層ビルが建ち並ぶ街に生まれ変わる予定だ。


渋谷駅街区 2020年、2027年、段階開業予定

昨年7月31日に1期工事の起工式が行われ、そのシンボルとなる「渋谷駅街区東棟」の工事がスタートした。
この東棟は地下7階、地上46階建てで、高さは228.3mでこの地区でもっとも高くなる(2012年4月に開業した「渋谷ヒカリエ」の高さ182.5mを45mも上回る)。
場所は東急東横線の旧渋谷駅や東急百貨店東横店東館があった場所。
完成は2019年7月末を予定し、20年の東京五輪開催時には名実ともに渋谷のシンボルタワーとなる。



イメージ 渋谷文化 サイトより

2期工事として今後、東棟に続いて、JR渋谷駅を東西にまたぐ位置に地下2階、地上10階建て、高さ61mの中央棟と地下5階、地上13階建て、高さ76mの西棟を2027年の完成を目指して建設する計画。
東京五輪には間に合わないものの、JR東海が手掛けるリニア中央新幹線の開業時期と重なりそうで、同27年には3棟の駅ビルが並ぶ。

東棟の14階までの低層部は延べ面積3万㎡の大規模商業施設、15階にクリエイティブ・コンテンツ産業などの情報交換を促す交流施設、16階から上の高層部はオフィスとなるが、地下化した東急東横線のほか、東京メトロ銀座線やJT山手線などの渋谷駅に直結。 地下から上層部にかけて、東口立体交通広場を設け、街へのアクセスや鉄道の乗り換えをスムーズにするとともに、災害時の帰宅困難者を受け入れる空間を確保するなど、「渋谷の玄関口」の役割を担う予定。

JR渋谷駅を直下とする予定の中央棟とそれに並ぶ西棟の着工時期は現在未定だが、完成すると、述べ面積は17万4000㎡の東棟と中央棟と西棟を加えた3棟合計は27万㎡となり、渋谷ヒカリエの約2倍に達する。店舗面積は3棟合計で7万㎡となる。


渋谷駅南街区 2018年開業予定

再開発が予定されている他の場所に、国道246号を挟んで渋谷駅のすぐ南側に位置する「渋谷駅南街区」がある。東急東横線の渋谷駅―代官山駅間の地下化により、地上の線路跡地の開発が可能になり、地下4階、地上34階で高さ180mの複合ビルを建てる計画がある。

オフィスのほか、ホテルやホール、商業施設が入る予定。また、この街区に流れる渋谷川に綺麗な清流復活水を流し、川沿いに植樹しテラススペースと遊歩道を設置。 緑と潤いに満ちたスペースが誕生する計画。一部は2017年度の開業を目指す。




イメージ 渋谷文化 サイトより



道玄坂街区 2018年開業予定

道玄坂街区では現在の東急プラザ渋谷付近に地上17階、地下5階の複合ビル建設が予定されている。
1階に空港リムジンバスの発着場を含むバスターミナル、高層部にハイグレードオフィス、中低層部には世界中から人が集まる魅力的な商業施設を配置し、2018年度の開業を予定している。

渋谷駅周辺の再開発に連携して、渋谷駅西口交通広場の再編に貢献し駅施設および周辺市街地をつなぐ縦動線「アーバン・コア」や歩行者デッキなども同時に整備される。 これら交通動線の集約化、ネットワーク化により、国際的な観光文化都市渋谷の玄関口に相応しい交通基盤となる。
また日本進出を希望する外国企業のための業務環境と国内外の観光客、起業家等の誘引のための支援環境も整備される。





イメージ 渋谷文化 サイトより




桜丘口地区2020年開業予定

渋谷駅西口から国道246号線を隔てた「桜丘口地区」は駅に隣接しながら不便であったアクセスを解消、周辺再開発との連携に伴い、縦動線「アーバン・コア」や歩行者デッキなどが整備され、駅から桜丘口地区までのスムーズな移動を実現する予定。

同地区計画としての再開発エリアは桜丘町1〜4、8番地など、敷地面積は約1万7000平方メートル。地上36階・高さ約180メートルの「A1棟」と、地上15階・高さ約90メートルの「A2棟」から成る「A棟」。 8番地に建設を予定する地上32階・高さ約150メートルの「B棟」と、それに隣接する地上4階・高さ約30メートルの「C棟」の4棟で構成。 延べ床面積は24万1400平方メートルで、主な用途はオフィスビル、商業ビル、住宅棟などで、街の国際競争力強化を図るため、居住者や外国人ビジネスマンの生活を支援する施設や国際医療施設に重点を置き、国際都市をアピールする。またC棟は教会として利用されるという。

渋谷再開発の4つの街区において、住居が入るのはこの桜丘地区だけである。



イメージ 渋谷文化 サイトより



これらは50年や100年に一度といわれる大規模な再開発であり、街全体が大きく一変。 駅周辺には近代的な高層ビルが林立、駅ビルを含め現在の渋谷の姿から大きく様変わりする。
各高層ビル間はデッキや地下通路で移動しやすくなるという。 地上の遊歩道や広場も緑化整備され、待ち合わせで有名なハチ公広場は現在の1.5倍の広さに広がる予定。

この再開発事業の目的の一つに「良質なクリエイティブ・コンテンツを創出する環境つくり」があり、ビジネス拠点としての魅力も高まってくる。
インフラ整備、防災対策、緑化整備により街全体が整い、渋谷はさらに活性化され、若者や観光客だけではなくビジネスマンを含む多くの人々を引き付け、世界的な文化発信基地として飛躍していくことでしょう。


2016年8月6日土曜日

シャンパンで〆る『THIRTY SIX BAR&LOUNGE』


東京のルーフトップレストランの先駆けであった『青山ラピュタガーデン』。昨年リニューアルしたテラスはカウンターが狙い目


Last order 25:00

青山通り沿い、都心の一等地に位置するビルの9F、地上から34メートルの場所にあるルーフトップバー。周りに高い建物がないので360度の夜空を見渡せる青山随一の夜景スポットだ。

近くには六本木ヒルズや東京タワーの灯りが輝いておりアーバン感満載。さらにインテリアのセンスも良く、ライトアップされたプールや植物もあるのでゆったりとリラックスできるのだ。


テラスで夜景を眺めながら飲むシャンパンは格別! グラスシャンパン¥1,900




2016年8月5日金曜日

【ベトナム・ハノイでの大規模分譲住宅開発事業に参画/三菱商事】


三菱商事(株)は27日、ベトナムの大手不動産ディベロッパー「Bitexco Group of Companies」(Bitexco社)がハノイで進めている分譲住宅開発事業に参画すると発表した。

 同プロジェクトは、ハノイ市中心部から東西に8kmのホアンマイ区において、同社が進めている住宅、商業、オフィス、学校、スポーツ施設などの大規模複合開発事業「The Manor Centoral Park」プロジェクトの一環。政府により一体整備が計画されている公園の面積を加えると、ハノイ市最大の不動産開発事業となる。

 三菱商事は、Bitexco社と合弁会社を設立し、分譲住宅開発計画のうち、第1期計画に参画。出資比率は三菱商事:Bitexco社で45%:55%で、総事業費は約300億円となる見込み。

 同プロジェクトでは、低層棟約240戸と高層棟1,036戸(2棟合計)を建設。敷地面積はそれぞれ2万1,109平方メートル、7,644平方メートル(同)、建物面積は7万8,852平方メートル、6万843平方メートル(同)。

 着工は低層棟が10月、高層棟が2017年4月で、竣工はそれぞれ17年12月、19年12月の予定。




2016年8月4日木曜日

【首都圏の駅別マンション資産倍率「六本木一丁目駅」がトップ/東京カンテイ調査】

(株)東京カンテイは28日、主要都市圏の駅別「マンションPBR2016」を発表した。マンションPBRとは、過去10年(2006~15年)の平均中古マンション(築10年以内)70平方メートル換算価格を、過去10年平均の新築マンション70平方メートル換算価格で除したもので、駅ごとに供給される分譲マンションの資産倍率を示す指標となる。加えて、10年間賃貸住宅として運用した場合の運用益を算出。売却した場合の売却益と運用益の合計による駅別ランキングも公表した。

 首都圏でマンションPBRが最も高かったのは、東京メトロ南北線の「六本木一丁目」駅で、マンションPBRは1.56。2番目に高かったのは京浜急行本線「立会川」駅で1.24。以下、東京メトロ銀座線「外苑前」駅1.23、都営地下鉄三田線「御成門」駅1.22と続いた。

 PBRトップの「六本木一丁目」駅は、過去10年の新築マンション価格平均が1億155万円に対して、中古流通価格の平均は1億5,885万円だった。賃貸した場合の平均月額賃料は44万9,531円で、10年間賃貸した場合の運用益を5,394万円と試算。年間の利回りは11.0%。売却益と運用益を合算すると1億1,124万円で、こちらも首都圏でトップだった。

 売却益と運用益の合算は、東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅の7,469万円、東京メトロ南北線の「麻布十番駅」の6,266万円と続いた。

 同社は、「売却・運用益の合算上位30駅の大半が都心部に位置しており、特に港区が15駅ランクインした。一方、郊外は大手ディベロッパーが強気な価格設定で供給してきた経緯から、新築価格の上昇に加え、都心回帰志向により中古価格や賃料水準が伸び悩み、PBRや売却・運用益の合算では上位に入らなかった」と分析している。

2016年8月3日水曜日

【選手村整備について】


2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村は中央区晴海に計画されており、住宅棟については、選手の宿泊施設として一時使用した後に住居等として生まれ変わる計画となっています。
具体的な整備手法については、市街地再開発事業における特定建築者制度(※)を導入し、民間事業者の活力や開発ノウハウを活用して、建物の整備を進めていく予定です。

※ 特定建築者制度
施設建築物の建築等を施行者に代わり、民間事業者等に実施させることができる制度。この制度により、民間事業者の資金力とノウハウ等を積極的に活用できるようになり、より魅力的で処分性の高い建物を建築し、事業を円滑に推進することができます。

大会終了後における住宅棟のモデルプラン

東京都では、多様な人々が交流し、快適に暮らせるまちづくりを目指して、大会終了後の選手村予定地の基本的な考え方を「選手村 大会終了後における住宅棟のモデルプラン」(以下「モデルプラン」という。)としてとりまとめました。
今後、この「モデルプラン」をもとに、環境影響評価条例、都市計画法等の諸手続きを進めていき、平成28年春の市街地再開発事業の事業認可を目指してまいります。