2016年8月30日火曜日
【「驚きの次元が異なる」 勝どきザ・タワー】
鹿島建設(幹事会社)、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友商事、野村不動産の5社JVマンション「勝どきザ・タワー」を見学した=写真は完成予想図。わが国のマンションの歴史に残るマンションであるのは間違いない。シアターのパクリだが、「驚きの次元が異なる」素晴らしいマンションだ。
物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩6分、中央区勝どき5丁目の敷地面積約10,000㎡に位置する53階建て全1,420戸(事業協力者住戸102戸含む)。専有面積は40.42~120.55㎡、価格は未定。実施設計・施工は鹿島建設。竣工予定は平成28年12月下旬。販売代理は三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住商建物。販売予定は5月下旬。
現地は、施行面積約1.9haの「勝どき五丁目地区第一種市街地再開発事業」の一角。再開発の計画が持ち上がったのが平成18年というから、わずか6年で供給にこぎつけた。中央区の指導のもと都や民間の地権者などの決断がこのようなスピード感のある事業となった。この速さは全国的にも珍しいという。
敷地の南東側には清澄通りを挟んで「ザ・トウキョウ・タワーズ」が建っている。北西方向には隅田川を挟んで浜離宮がある。2016年開通予定の環状2号線・隅田川橋りょうができれば、浜離宮や汐留駅は徒歩圏になる。
戸数規模は、タワーマンションとしてはわが国最大級で、3方に翼を広げたようなトライスター型としては「芝浦アイランドケープタワー」(同社施工)、「スカイズ」(清水建設施工)ついで首都圏で3棟目。3棟の連結部に制震装置を配置した世界初の「VDコアフレーム構法」を採用したほか、眺望・開放感を妨げない「ダブルチューブ架構」、床の段差を減らす「段差付ハーフPCaスラブ」、快適空間を実現する「逆梁・順梁」の併用など、同社の最新の建築技術を盛り込んでいるのが特徴。
外観は白を基調としたアウトフレームで構成。角住戸は大きいガラスカーテンウォールを採用し、濃いグレーのデザインで分節することで陰影の深いシャープで凛としたデザインにしている。
モデルルームは4タイプ。60㎡は単身・DINKSの入居を想定した白が基調のデザイン。最上階の120㎡のプレミアム住戸は天井高が約4mで、天然石、天然木をふんだんに使用した億ション。カップボード、吊戸棚は標準装備。浴室、トイレには緊急呼び出しボタン付き。ゲストルームは6室で、約60㎡のモデルルームはホテルのスィートクラス。
マンションギャラリーのシアターは3つ。そのうちのひとつは、模型のような固定装置ではなく、ホログラムシアターによって立体的な画像で視覚的に分かりやすく表現している。巨大ジオラマは5.4×5.8m。主だった建物はほとんど実際の建物と同じように彩色。六本木から豊洲までの都心部を再現している。
これまで資料請求は約1万件、来場者は約2,000件。同社事業部担当部長・芳賀泰彦氏は、「たくさんの反響をいただいている。価格を決めるのはもうすぐだが、難しい。競合物件もあり、選手村にもたくさんのマンションが建つし、再開発計画も目白押し」と、価格は公表しなかった。
記者は鹿島のファンだ。これまで同社の自社分譲マンションはほとんど見てきたし、同社施工の主だったマンションも見学してきた。どう客観的に評価しても、マンションを造らせたら同社がナンバー1だと思う。
その鹿島が先の施工ミスがマスコミに報じられたときはショックを受けた。他の大手2社も相次いで施工ミスをやらかした。情けないとしか言いようがない。ゼネコンはBtoBの業態だが、マンションはBtoCでもある。ユーザーはデベロッパーと同じくらい施工会社を選んでいるということを銘記すべきだ。バブルがはじけたとき同業のほとんどから不動産事業から撤退したのに対し、鹿島だけは継続してきた。それが現在の評価につながっている。
今回のマンションについては芳賀氏や事業部担当部長・重松諭氏から1時間30分にわたって説明を聞いた。改めて同社の技術の高さと、モノづくりのこだわりを肌で感じた。
一つひとつは書ききれないが、もっとも驚いたのは巨大ジオラマだ。森ビルの「六本木ヒルズ」のような精緻なものではないが、おそらく製作には1千万円単位の費用がかかっているはずだ。ジオラマごときで“わが国初”などと書くべきではないが、これはすごい。
共用部には凹凸のある採石したままのような石が採用されているが、芳賀氏によると、中国まで担当者が出かけ、実験場を設け、ああでもないこうでもないと選んだものを採用するという。
モデルルームのデザインもいい。とにかく壁、サッシ、建具の線が美しいのだ。これはいかんとも説明のしようがない。担当者の感性というほかない。
さて、問題の価格。芳賀氏も重松氏も堅い口を閉ざしたままだった。ここは記者の評価・予想ということで読んでいただきたい。
記者は三菱地所レジデンスと同社のJV「ザ・パークハウス晴海タワーズ」の分譲開始時に、「現段階で最高レベルのマンションとして坪単価320万円の価値があると」書いた。いまでもその評価は変わらない。
今回は「晴海」をしのぐ。基本性能、設備仕様はともかく、立地条件が「晴海」をはるかにしのぐからだ。このマンションの計画が浮上したとき、記者は南ばかりをみていた。つまり、「ザ・トウキョウ・タワーズ」が南東側にそびえ立っているので、住戸によってはその日影が影響し、眺望も損なわれるので、そんなに高く売れないとずっと考えてきた。
見落としていたのは北側だった。環状2号線が開通すれば、浜離宮が徒歩圏になることなど全然考えていなかった。汐留駅も徒歩圏になる。「汐留」に近いマンションであることが訴求できれば飛躍的に注目度は高まる。トライスター型にしたのはなるほどと思った。これだけ条件が揃えばいくらになるか…価格は市場が決定するのでここでは書かない。
もう一つ。細かなことだが、建物中央部には「ライトチューブ」と呼ぶ吹抜け空間を設け、太陽光追尾装置によって自然の光を下層階に取り入れる。この太陽光追尾装置はビルなどではかなり採用されているはずだが、マンションでは記者は首都圏では1~2例しかしらない。
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