所有者不明土地問題研究会(座長:増田寛也氏[東京大学公共政策大学院客員教授])は26日、いわゆる「所有者不明土地」に関する面積将来推計と経済的損失についてまとめた。
同研究会は、不動産登記簿によって所有者が直ちに判明しない・判明しても所有者に連絡がつかない土地を「所有者不明土地」とし、その問題点等を研究するために2017年1月に設置。6回のワーキングを実施し、6月には中間整理も発表している。
所有者不明土地の将来的な影響を把握するために、国立社会保障・人口問題研究所の死亡者数データと同会のウェブアンケートから算出した“相続登記が行なわれない”比率から、40年までに所有者不明土地がどれだけ発生するかを推計し、それに基づいて経済的損失を算出した。
20~40年に発生する土地相続のうち、約27~29%が未登記になる可能性があることが分かった。同会の調査によると16年時点で約410万haが所有者不明で、このまま増加防止措置がない場合、40年には約720万haになると推計した。北海道本島(約780万ha)に近い面積なる。
利活用や管理にかかるコストなどを推計し、経済的損失についても算出。17~40年の累積損失額は、約6兆円。利活用の機会損失が約2兆2,000億円、管理不行き届きによって本来農地・森林として機能していたもの等が損失することで、約3兆6,000億円が失われるとした。災害発生時の潜在コスト等は算出できなかったので、損失が拡大する可能性もある。
また、単年ごとの損失を推計すると、16年単年約1,800億円だったのに対して、所有者不明土地が増加することで40年には単年で3,100億円もの損失が発生すると推計した。
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