2017年1月29日日曜日

首都圏マンション、売れ行き好調物件が大幅減。立地選別のハードル高まる/トータルブレイン調査

分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、2016年に首都圏で分譲されたマンションの販売状況を調査したレポートを発表した。

 同年は販売戸数は激減したものの、物件の小規模化が進んだことから、調査対象物件数は15年比54物件増の495物件となった。販売状況等がヒアリングできたのは410件で、このうち売れ行きが好調だったのは124件で全体の30.2%(前年:40.8%)。15年は売れ行き好調だった23区(調査物件数214物件)では好調物件が69物件・32.2%(前年:47.3%)と大幅に悪化。都下(調査物件数30物件)も26.7%(前年:31.7%)、神奈川県(調査物件数88物件)も38.6%(前年:448.5%)と落ち込んだ。すべての都県で好調物件比率が減り、「まずまず」「苦戦」物件の比率が高まった。

 東京23区は、城南・城西を中心に駅遠物件の増加、エリア・沿線の利便性評価の低下、単価上昇に伴うグロスのミスマッチなどを理由に苦戦物件が増加。都心部も立地面での差別化ができない坪単価400万円台の苦戦物件が増加した。城北エリアのみ、良好な交通利便性と駅近立地の割に割安感のある価格設定が評価され好調物件が多かった。

 ほぼすべてのエリアで、好調・苦戦要因の上位は「価格(割安感・割高感)」「立地」だったが、総戸数100戸以上の物件では「集客難」や「需給バランスの悪化」を苦戦理由に挙げる比率も高まる傾向があった。

 また、調査物件の駅距離別に売れ行きをみたところ、徒歩9分を境に好調物件比率と苦戦物件比率が逆転し、その境目が8分から9分となったものの傾向は前年と変化はなかった。しかし、徒歩5分圏内の物件が割高感や沿線・駅力、需給バランスなどを背景に、苦戦物件が大幅に増えていた。

 今回の調査結果について同社は「価格が上昇する中、立地で差別化できない物件がユーザーに受け入れられていない。郊外ではメインターゲットの中小企業勤務・専業主婦世帯の動きが停滞し、集客難による苦戦事例が目立ち、特に総戸数100戸以上の大型物件の販売リスクが高まっている」と分析。「価格のもう一段の上昇によりエンドユーザーの立地選別のハードルがさらにもう一段上がってきている」とし、「用地仕入れは、よりメリハリをつけた戦略が必要」と提言している。

2017年1月28日土曜日

都心高級賃貸専門の新会社設立/エイブル&パートナーズ

(株)エイブル&パートナーズは23日、都心部の高級賃貸住宅を専門的に取り扱う賃貸仲介会社として(株)オアシス(東京都港区)を新設。同社代表取締役に就任した筒井敏孝氏(エイブル&パートナーズ最高顧問)が、本社のインタビューに応じた。

 新会社は、東京都心部の高級賃貸物件の仲介に特化する。筒井氏は、「エイブルは今年創業49年を迎えるが、これまでは学生をはじめとしたシングルや若年のカップルをコアターゲットとして展開してきた。現在25万物件を抱える管理物件も、そうした入居者層を対象としたものだ。今回、安全・安心・豊かな住生活の提供という観点で、事業領域を広げるためのチャレンジとなる」と新会社の設立意図を説明する。

 取扱物件は都心部、特に港区、中央区、千代田区、渋谷区に所在する賃料20万円以上の物件。賃料の平均水準は約35万円程度とみる。これまでは取り扱っていなかった大手不動産などが開発した高級賃貸住宅に特化することで、兄弟会社となる(株)エイブルとの競合を避ける。「これまでエイブルが取り逃していた高額層のユーザーをグループ内で取り込めるようになるなど、相乗効果を見込んでいる」(筒井氏)。

 顧客への物件案内には、営業車ではなくタクシー利用を徹底し、高級賃貸を求める富裕層顧客の細かな要望まで聞き入れる。「運転しながらお客さまと会話すると、運転にもヒアリングにも散漫になる。ならば、タクシーを使ってじっくりとお客さまとの会話に集中できる」(同氏)。

 また、仲介だけにとどまらず、入居後のケアをしっかり行なっていく方針。家具や家電等インテリアのアドバイスに加えて、ハウスクリーニングの手配や財務コンサルティング等、不動産需要にとどまらない複合的なサービスを提供していく。「顧客には資産家層も多いだろう。そうしたお客さまへのサービスを充実させるため、エイブル&パートナーズの持つビジネスリソースを最大限発揮していく」(同氏)。当面は賃貸仲介のノウハウを蓄積し、数年後には高級賃貸物件の管理受託への参入も目指す。また、資産家層を対象とすることで、付随業務として、同社グループでは行なっていなかった売買仲介を手掛けることも視野に入れている。

 当初は社員7人で展開、同社ホームページには500件の物件を掲載する。エイブルが得意とする顧客層とはアプローチの仕方が異なるとして、人材はすべて独自にリクルーティングした。給与体系についても、歩合ではなく年俸制とした。「最初は種まき。当面はむやみに成約件数を追い求めることなく、ノウハウを蓄積する。仲介会社として入居者・貸し主双方をケアしていくことで、お客さまの満足度を高めていきたい」(同氏)。

2017年1月27日金曜日

東京・白金のマンションに鮮魚宅配サービス導入/三菱地所


三菱地所(株)は23日、CSN地方創生ネットワーク(株)に出資、第三者割当増資を引き受けると発表。同時に、CSN社と包括協定を締結した。

 CSN社は、羽根空港の制限区域に「羽田鮮魚センター」を持つベンチャー企業。全国の漁師から鮮魚を仕入れ、空輸して同センターに集約、加工仕分けして国内外の飲食店や個人宅に配送するサービス「羽田市場『超速鮮魚』」を展開している。

 協定初弾事業として、三菱地所レジデンス(株)が野村不動産(株)とのJVで3月下旬に販売開始予定の「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」(東京都港区、総戸数172戸)に鮮魚宅配サービスを導入する。コンシェルジュ対応や冷蔵設備の設置も計画している。今後も同社グループが分譲・管理するマンションへの導入を検討していく。

 「ザ・パークハウス白金二丁目タワー」は、東京メトロ・都営地下鉄「白金台」駅より徒歩5分。敷地面積2,891.38平方メートル、建物は鉄筋コンクリート造地上27階地下2階塔屋1階建ての免震タワー。専有面積は56.23~185.28平方メートル、間取りは1LDK~3LDK。販売価格および販売戸数は未定。竣工は18年5月を予定している。

2017年1月26日木曜日

ライフスタイルに合わせ部屋・収納の広さを変える可動収納ユニット開発/長谷工


(株)長谷工コーポレーションは、家族構成やライフスタイルの変化に合わせ、部屋の広さや収納の広さを自由に変えられる可動収納ユニット「UGOCLO(ウゴクロ)」を開発。自社で設計・施工する新築分譲マンションへ導入する。

 一般的なファミリーマンションの中住戸(3LDK)の縦方向に連続する2つの居室を1つにつなげ、その間を縦方向(玄関側←→バルコニー側)のみ移動可能な収納ユニット2つで仕切る。可動収納は大きく3ブロックに分割されており、中心部分は通路としても使用できる。2つのユニット収納を動かすことで、それぞれの部屋の広さを可動範囲で自由に決められるほか、収納同士の間隔を変えることでただの収納から納戸、ウォークスルークローゼットと用途を変化させることができる。2つの収納と、リビング側居室のウォールドアを組み合わせ、多彩な空間利用を実現するシステムとして、現在特許を出願している。

 1ユニットの重さは150kgだが、大型の車輪12個と側面のローラーガイドにより、女性でも簡単に移動が可能。位置を決めたあと、天井パネルと床の車輪を固定することで、耐震性と遮音性を確保する。部屋の幅と天井高の寸法はマンションにより変えることができるが、天井高と居室幅を目一杯使うため、設計時から構造梁を壁に収め、火災報知器の高さや照明位置等も配慮する必要がある。建築費は、従来型の収納採用時と比較して、戸当たり30万円アップに収めた。

 同システムは、同社の子会社である総合地所(株)が分譲する「ルネ北綾瀬」(東京都足立区、総戸数58戸)、「江戸川区東葛西9丁目計画」(総戸数439戸、新日鐵興和不動産(株)とのJV)の一部住戸から導入。その他6物件で導入が検討されている。専有面積と間取りに制約がある都市部の小型物件や、郊外の一次取得者向け物件などを分譲予定の事業主に、ローコストでユーザーの多様なライフスタイルに対応するシステムとして提案していく。

 26日会見した同社執行役員エンジニアリング事業部長の定永好史氏は「私自身のマンション生活を振り返った時、もっとも苦労したのが、子供の成長に住まいをどう対応させていくかだった。そこで、生活状況に応じ、部屋と収納の大きさを自由に変えられないかと考えた。ライフスタイルの変化への対応はもちろんだが、女性でも簡単に動かせるので、パーティの時だけ、親が泊まりに来た時だけというように、必要な時に部屋の使い方を変えられるメリットもある。可動収納自体は以前からあるものだが、部屋と収納をライフスタイルに合わせ変える提案は、収納の開発と設計・施工をグループで手掛けているからこそできるもの。事業主にアピールしていく」などと語った。

2017年1月24日火曜日

虎ノ門ヒルズ」隣接地で、地上54階建ての住宅棟着工/森ビル


森ビル(株)は24日、同社が参加組合員として推進する再開発事業「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(東京都港区、総戸数約550戸)の起工式を開催した。

 同事業は、2014年6月に開業した「虎ノ門ヒルズ 森タワー」の隣接地で推進しているプロジェクト。すでに「(仮称)虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」が着工しており、現在計画中の「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」と合わせ、「虎ノ門ヒルズ」は区画面積7.5ha、延床面積80万平方メートルに拡大。国際水準のオフィス、住宅、ホテル、商業施設、交通インフラなど、さまざまな機能を備えた「国際新都心・グローバルビジネスセンター」となることを目指す。

 レジデンシャルタワーは、敷地面積約6,530平方メートル、延床面積約12万1,000平方メートル、高さ約220mの鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造)地上54階地下4階建て。大型タイプの住戸面積(2BR約95~3BR約155平方メートル~、4BR約220平方メートル~)を計画。インテリアデザインにはトニー・チー氏を起用し、洗練されたデザイン空間をつくり出す。6つ目となる会員制スパ「ヒルズスパ」には25mプールやジム、エステを設備し、約200平方メートルのパーティラウンジやゲストルームも設備。低層部には約1,000平方メートルの商業空間を設けるほか、短・中期滞在の外国人ニーズに対応したサービスアパートメント約160戸も整備する。

 同日開催された祝賀会で、同社代表取締役の辻 慎吾氏は「本事業は、『国際新都心・グローバルビジネスセンター』に進化・拡大する、虎ノ門ヒルズエリアの居住機能を担う、大変重要なプロジェクト。タワーの足元には歩行者デッキや公園、広場を整備し、虎ノ門ヒルズから愛宕山へ緑あふれるオープンスペースを連続させるなど、地域の皆さまの利便性を高め、かつ憩いの場となるようなまちづくりを目指す」などと話した。

 着工は3月、竣工は20年4月の予定。

2017年1月22日日曜日

部屋探しの手間・時間を最小限にするVR内見サービス開始/日本財託



(株)日本財託は、全天球カメラで撮影した画像をVRコンテンツ化し、部屋に行かずに内見可能な「VR内見サービス」を開始した。

 同サービスでは、あたかも現地にいるような感覚で内見することができる。複数の部屋を移動しながら360度画像を閲覧できるほか、VRヘッドセットを用いれば、視線を合わせることで部屋間を移動できるなど直観的な操作も可能。

 サービス提供には(株)エフマイナー(東京都渋谷区、代表取締役:森田博和氏)の開発する3D Styleeを利用した。

 同社では、専門スタッフによるビデオ撮影と動画の提供を中心に、要望に応じてリアルタイム中継も実施。昨年、仲介サービス利用者の約6割が利用し、2,100件以上を撮影した。今後は、内見代行とVRを併用することで、顧客の手間・時間を最小限に部屋に決められるサービスを目指していく。


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