森ビル(株)は25日、「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2017」の結果を発表した。
1986年より同年以降に竣工した、事務所部分の延床面積が1万平方メートル以上のオフィスビルを対象に、需給動向を調査しているもの。一般に公開されている情報を基に、2017年1~2月に実施した現地調査ならびに聞き取り調査によって供給量を算出。新規需要(吸収量)は、該当年の新規稼働床面積(前年末の空室面積+新規供給面積-当年末の空室面積)を指し、供給量と比較するため、賃貸面積を大規模オフィスビルの平均有効率65.5%で割り戻すことで延床面積に換算している。
東京23区における16年の供給量は、97万平方メートル(前年109平方メートル)と、前年比で減少。17年も73平方メートルと2年連続で減少する見込み。今後5年間(17~21年)の平均供給量は103万平方メートルで、過去平均並みとなるが、18年および20年は、140平方メートル・163平方メートルと突出して供給量が増える予定。建築費の高騰などによる竣工時期の後ずれなどが影響している。また、事務所の延床面積が3万平方メートル以上(供給量割合85%)はもちろん、10平方メートルを超える大規模物件が増えるほか、複合開発やインフラの一体整備案件などが多くなるとした。
都心3区(千代田区、中央区、港区)における16年の供給量は70万平方メートル(前年78平方メートル)。 今後5年間(17~21年)の平均供給量は70万平方メートルと、23区全体における約7割を占める。特に18~20年の供給は「丸の内・大手町エリア」(104平方メートル)、「芝浦・海岸・浜松町エリア」(61平方メートル)など、3区内の中でも特定エリアに集中するとした。
16年の23区の吸収量は119万平方メートル(前年114平方メートル)と供給量を上回った。それに伴い空室率は3.2%(前年末比0.7ポイント低下)と4年連続で改善。17年の吸収量・空室率は81平方メートル・2.8%、18年は131平方メートル・3.0%を見込む。3区の吸収量は71万平方メートル(前年75平方メートル)で、16年末の空室率は3.4%(前年末比0.2ポイント低下)。
同社営業本部マーケティング部部長の山口 嘉寿明氏は「都心のオフィス市場は、90%超える入居率が多く、賃料も高止まりで、空きが出るとすぐに借り手がすぐつく状況。長期的にも賃料や空室率の悪化は予想していない。経済状況などが大きく変わらなければ、21年以降も供給は一定以上続き、需要も外資系企業などを中心に堅調だとみている」と話した。